東武東上線「ときわ台から下赤塚」には何があるか 池袋―成増間「地下鉄と直通しない区間」の底力

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「現在の駅舎は2018年にリニューアルしたものです。以前の駅舎を建て替えることになった際、地元の方々のご要望もあって1935年に開業した当時のデザインに戻す形になりました。青色のスペイン瓦、壁には大谷石を使って破風板も開業時と同じ色に塗っています。改札口の位置も、開業したときと同じなんですよ」(松下駅長)

駅舎の脇には武蔵常盤小径と名付けられた小さなギャラリーがあり、そこには常盤台住宅地の概要や歩みがまとめられている。駅前には立派なロータリーがあって、その先に常盤台住宅地へと続く。“各駅停車8駅”、ほかの駅も庶民的で温かい雰囲気だが、ときわ台駅は少し違う空気感を持っている。駅前に立派なロータリーがあるのもそうした理由の1つだろうが、やはり開業当時と同じ姿の大谷石の駅舎のたたずまい、そして約90年の歴史を刻んできた常盤台住宅地の存在がゆえなのだろう。

街との距離が近い上板橋

そんな8駅の中でも異彩を放つときわ台駅から再び電車に乗って、上板橋駅にやってくるとまた駅前の雰囲気は元に戻って庶民的だ。大きなロータリーはなく、南側はクルマも入ってこられないような小さな道と商店街。北側には広場こそあるものの、路線バスがぐるりと回れるほどのスペースはない。誘導員が笛を吹いて切り返しているくらいだから、やはり駅前は小さい。この小ささこそが、駅と街の距離を縮めてくれるのだ。

上板橋駅は、かつて東武鉄道に存在していた、現・スカイツリーラインと東上線を連絡する“西板線”(西新井&上板橋)という壮大な計画の終着地。スカイツリーライン側ではその一部が東武大師線として結実したが、上板橋側はまったくの手つかずのまま終わっている。なので、もちろん西板線の計画を忍ばせるようなものは見られない。

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