東武東上線「ときわ台から下赤塚」には何があるか 池袋―成増間「地下鉄と直通しない区間」の底力

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東武練馬駅の北、つまり板橋区側にはイオン板橋ショッピングセンターが堂々と建つ。地元の人たち、大東文化大学の学生、そしてイオンの来訪者が東武練馬駅の利用者というわけだ。松下駅長はこのイオン(の前身)と東武練馬駅にはちょっとした思い出があるという。

「私は1989年に入社したんですが、最初の配属が東武練馬駅だったんです。そのときはまだイオンはなくて、大木伸銅工業の工場があった。それがのちに板橋サティになって、そのときにも私は助役として東武練馬駅に来ています。よく覚えているのは、読売ジャイアンツの優勝セールをサティでやったんです。下り電車が到着するたびにものすごいたくさんのお客さまが降りてこられまして。下り側の駅舎からサティまでは踏切を渡るのですが、あまりに人が多いということで警備をしたのをよく覚えています」(松下駅長)

そのサティも今はなく、2011年にイオンに衣替えして今に続く。大型ショッピングセンターの少ない東上線北池袋―下赤塚間においては、いちばんの商業施設である。

下赤塚駅付近は地下鉄と並走

東武練馬駅付近までは、途中で都営三田線と接近するところもあるにせよほとんどが東武東上線の独壇場だった。ところが、東武練馬駅を出てしばらくすると南側から川越街道が近づいてきて並走。そうすると東上線の独壇場は終わりを告げる。川越街道の地下をゆく、東京メトロ有楽町線・副都心線とも並走することになるのだ。下赤塚駅は、そんな場所にある。

「ほんとうに住宅地の中にある駅で、何があるのかと言われると困るんです(笑)」

こう話すのは、成増駅長で下赤塚駅も管理している鑓水勝也東武池袋駅管区副管区長だ。

下赤塚駅近くを通る川越街道には地下鉄赤塚駅の出入り口(撮影:鼠入昌史)

「1日の乗降人員も北池袋―下赤塚間では北池袋駅に次いで少ない駅です。私たちとしては東上線に乗っていただきたいのですが、地元の方々にとっては地下鉄の地下鉄赤塚駅もあるので交通の便には恵まれていると思います」(鑓水副管区長)

下赤塚駅は南側が小さな駅ビルになっている。この駅ビル、上層部分はマンションという都心に近い駅にしては珍しい構造だ。1階・2階にはテナントが入る。個人的な思い出だが、かつて駅ビルの2階にあったファミレスで某元プロ野球選手の取材をしたことがある。その時のファミレスは今ではコメダ珈琲店になっている。

地下鉄赤塚駅はこの南側から少し路地を歩き、川越街道に出たところ。歩いても3分とかからない。東上線と地下鉄を選び放題とは、下赤塚は実はかなり便利な駅ということだ。北側には駅の上り方にある踏切から続く細い路地のような道が駅の入り口とされているというちょっと変わったところもあったり、北口駅前には昭和感漂う雑居ビルがあったりと、いささかタイムスリップ感を覚える。この下町らしさ、今もって線路が地上を走る東上線ならではといっていい。

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