米国株は22日のFOMC次第で急落の可能性がある

もはや重要なのは「テーパリング開始」ではない

自らの留任もかかるパウエルFRB議長。今回のFOMCは今後の市場動向に大きな影響を与えそうだ(写真:ロイター/アフロ/代表撮影)

まずは9月の初めに出た重要指標のおさらいから始めよう。3日に発表された8月のアメリカ雇用統計は、非農業部門の雇用数が前月から23.5万人の増加と、予想を大きく下回った。

だが、重要とされる時間当たり賃金は前月比で0.6%、前年比で4.3%の上昇という強い伸びを見せた。景気回復のペースにブレーキがかかるいっぽうで、インフレに対する懸念は高まるという、考えられる中でも最も弱気の内容になったと考えてよいだろう。

感染再拡大が、かえって賃金上昇圧力を高めた?

統計の発表直後には非農業雇用数の伸び悩みを受け、FRB(連邦準備制度理事会)による同国債や住宅ローン担保証券の購入プログラムの縮小(テーパリング)の開始が思った以上に遅くなるとの見方から、同国の長期金利が低下、株価指数先物には大きく買いが集まった。

だが、そうした動きは早々に息切れ、その後金利は上昇基調を強める格好となった。インフレ圧力が強まる中では「不用意にテーパリングの開始を遅らせることはリスクが高い」との見方が、最終的に市場でも大勢を占めたということなのだろう。

8月雇用統計の詳細を見ると、小売業の雇用が前月比2万8500人の減少となったほか、飲食店などを含むレジャー・ホスピタリティー部門の雇用が横ばいとなっており、新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大の影響が見られ始めたことは間違いない。

またこうした比較的給与水準の低い職種の雇用が伸び悩んだことが、平均賃金を押し上げた可能性も高そうだ。言い換えれば、求人が好調なペースで伸びる中でも、失業者の職場復帰が思うように進まず、慢性的な人手不足に陥っていることから賃金には上昇圧力が強まっているとの見方を、裏付ける結果になったとも言える。

その後、14日に発表された8月の消費者物価指数は、前月比で0.3%、前年比で5.3%の上昇と、足元のインフレ圧力が依然として強いことを再確認する内容となった。とくに賃金と同様、一度上昇すると下がりにくいとされる家賃や帰属家賃がそれぞれ前年比で2.1%、2.6%と、前月よりも高い伸びとなったことの意味は小さくない。連邦公開市場委員会(FOMC、21~22日開催)で、テーパリングの開始が決定される可能性は、依然として高いと言える。

次ページいよいよテーパリングは開始となるのか?
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
  • フランスから日本を語る
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • この新車、買うならどのグレード?
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
トレンドライブラリーAD
人気の動画
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
ウーバーイーツ配達員の過酷
ウーバーイーツ配達員の過酷
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
統合から20年どこでつまずい<br>たのか みずほ 解けない呪縛

みずほ銀行が相次ぐシステム障害で窮地に陥っています。その根底には、3行統合から今に至るまで解決できていない呪縛と宿痾が。本特集ではみずほが抱える問題点をガバナンス面や営業面などから総ざらい。みずほは立ち直ることができるのでしょうか。

東洋経済education×ICT