新レクサス「NX」に込められた2つの使命 独3強に比肩するにはさらに10年を覚悟

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今後もボリュームゾーンでは、小型車シフトが続く中、トヨタが利益成長を遂げられるかどうかは、レクサスの双肩にかかっている。

89年に米国で誕生、新興プレミアム・カーブランドとして大成功したレクサス。が、顧客の高齢化や慢心していた欧州高級車メーカーの反撃などで、2000年代中頃から成長はスローダウンしていた。そこに襲ってきた08年秋のリーマン・ショックで、レクサスは大きな痛手を受ける。09年の年間販売台数は、07年比で3割減と大きく落ち込んだ。一方、ジャーマン3は台数を減らしたものの、BMW16%減、ベンツ15%減、アウディ5%減(08年比)と、レクサスに比べるとダメージは軽微だった。

その後の成長にも大きな差がついた。ドイツ勢は3社とも11年までに販売台数が回復。13年の販売台数はリーマン前のピークと比べ、アウディが57%増(08年比)、BMWが30%増(07年比)、ベンツが21%増(07年比・乗用車のみ)と、いずれも大きく台数を増やしている。

歴史とストーリーがレクサスにない

レクサスは時間をかけて歴史とストーリーを作る必要がある

一方、レクサスは遅れて13年に過去最高の52万台を販売したが、07年比ではわずか1%しか増えていない。北米と日本ではそれなりの地位を確立しているとはいえ、本場の欧州で存在感は薄いと言わざるをえない。

「ブランドに必要な歴史とストーリーがレクサスにはない」。豊田社長は率直にそう認める。トヨタの場合、13年からレクサス事業を豊田社長の直轄として長期的な視野でブランド構築に取り組んでいるが、世界的にはジャーマン3との差はまだまだ大きい。だから「ブランド構築には時間がかかる」と覚悟を決める。冒頭のレクサス幹部によれば、「ブランドとして肩を並べるためには10年かかる。25年にそうなっていればいい」と言い切る。

ただ、長期戦は覚悟の上だとしても、NXで失敗するわけにはいかない。

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