トヨタ、足元は過去最高益でも浮かれず 迫る独VWの影、世界一の座は盤石と言えない

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トヨタの4~6月期決算は過去最高営業益を更新。が、背後に忍び寄る独VWの攻勢など、気を抜く状況にはない(テーブル写真右は佐々木卓夫・常務役員、左は小西工己・常務役員。8月5日の決算説明会、写真:Bloomberg via Getty Images)

トヨタ自動車らしい、慎重で手堅く、浮ついたところのない内容だった。

トヨタの2014年4~6月期の営業利益は、前年同期比4.4%増の6927億円、純利益は同4.6%増の5877億円となった。営業利益は4~6月期として7年ぶり、純利益は2年連続で最高となった。ちなみに四半期としても、営業利益や純利益の絶対額、営業利益率10.8%はともに過去最高だ。

4~6月期の販売台数は、前年同期から9000台増の224万1000台。国内は消費増税前の駆け込み需要の反動減で2万台減少で、アジア(中国を除く)もタイの落ち込みなどで9000台減少したものの、北米の2万1000台増、欧州の1万4000台増で補った。グローバルの総販売台数は3万3000台増の251万3000台で、これは主に、合弁で持ち分法適用の中国が4万3000台増えたことによる(ただし中国は1~3月)。

利益面では、原価改善効果が400億円、円安の影響で300億円、金利スワップ取引などの評価損益で430億円といった、利益押し上げのプラス面があった。が、車種構成の変化などで700億円、国内の賞与引き上げや新興国での賃上げなど労務費増で200億円、研究開発費増で50億円といったマイナス面もあった。そのため全体では300億円弱の営業増益にとどまっている。

営業利益横ばいの見通しは据え置き

トヨタは今2015年3月期の営業利益を前期比0.3%増の2兆3000億円と予想している。それに比べると4~6月期の進捗率はやや高く見えるが、佐々木卓夫・常務役員は「第1四半期は費用が少なめ。為替の円安や金利スワップ取引などの評価損益もある。今のラインはほぼ想定内の数字」と冷静に見通す。

もともとトヨタの業績予想は保守的なため、最終的には多少上めに着地する可能性は高い。しかし、今期は将来の成長に向けて積極的に先行投資を行う、「意図を持った踊り場」(豊田章男社長)という位置付けだ。業績予想の据え置きは、その意図に変更はないという会社側のメッセージだろう。

次ページ年度ベースの販売台数も据え置き
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