新レクサス「NX」に込められた2つの使命 独3強に比肩するにはさらに10年を覚悟
第2が、長くHV偏重で来たトヨタが、ついにターボにも舵を切った、その第一弾になるということだ。
トヨタは「プリウス」以来、HVを環境対応の切り札としてきた。日本市場ではHVは圧倒的な勝利を収めている。しかし、世界的に見れば、HVはまだまだマイナーな存在に過ぎない。バッテリーなどシステムコストの高さから、車両価格も高くなるのが最大のネックになっている。
特にフォルクスワーゲン(VW)を中心に、欧州系は今、高効率の直噴エンジンを小型化して燃費を下げ、不足するパワーをターボで補う、「ダウンサイジングターボ」で攻勢を強めている。トヨタとして初となる、直噴ダウンサイジングターボエンジンを搭載するのが、このNXなのだ。
まだ遠いジャーマン3の背中
トヨタにはレクサスを本当のプレミアムブランドとして育てる必要性がある。
全世界での販売台数を1000万台に乗せたトヨタが今後、規模の面で大きな成長を続けることは難しい。「会社の成長スピードに人材育成が追いつかず、無理な拡大を重ねた。リーマン・ショックによる赤字転落や大規模リコール問題も、そうした中で起こった」。豊田章男社長が振り返る2000年前半から中盤まで、年平均の販売台数の増加は約50万台だった。が、その50万台は今のトヨタにとって、全体のわずか5%増にしかならない。
トヨタが利益成長を目指すなら、規模ではなく、営業利益率を引き上げる必要がある。ただしそれは容易でない。15年4~6月期、トヨタの連結ベースの販売台数は、9000台増えたにもかかわらず、台数と構成変化による利益影響は、700億円のマイナス要因となった。新興国を中心に小型車の比率が増えたためだ。ちなみにライバルのVWが営業利益の4割強を稼ぎ出すのは、販売台数では全体の16%に過ぎないアウディなのである。
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