新レクサス「NX」に込められた2つの使命 独3強に比肩するにはさらに10年を覚悟

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

トヨタの専務役員であり、社内カンパニー、レクサスインターナショナルのプレジデントを務める福市得雄氏は、「レクサスブランドのオリジナリティ、日本のものづくりを訴えて、ブランドイメージと認知度を上げる役割が、NXにはある」と、期待をかける。

さらにNXの出来は、トヨタのエンジン戦略の今後をも左右する。

新型ターボエンジンは今後、ほかの車種にも展開していくからだ。排気量の違う複数のターボエンジンがこれから立ち上がってくる。トヨタ自動車九州の苅田工場では、休止していたエンジン生産ラインを再稼働。年間10万基のターボエンジンの生産能力を用意、このラインは最大22万基まで拡張できる。

販売開始時はすでに6500台受注

新型ターボエンジンの成否はトヨタのエンジン戦略を占う

新型ターボエンジンを開発した、ユニットセンターエンジン設計部エンジン企画5グループの引地勝義主査は、「過給技術はトヨタも持っている。欧州勢に学ぶ点は多いが、今現在は負けていない」と自信を示す。NXのターボの技術的な評価が上がれば、トヨタのターボ戦略に勢いがつく。その反面、評価が悪ければ、さまざまな計画が修正を迫られることにもなりかねない。

NXの国内目標は月販700台。販売開始時点での受注は、すでに6500台と上々のスタートを切った。11月に発売する米国では、初年度4万2000台を見込む。主戦場となる米国、さらに欧州や中国で、どこまで販売を伸ばせるか。

NXは、プリウスや「アクア」、「カムリ」と異なり、台数面での重要性は乏しい。が、レクサスブランドの向上、トヨタのエンジン戦略という両面で、大きなカギを握っているのは確かだ。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事