【産業天気図・証券業】市場不透明感強く、株式引き受けも反落。収益伸び悩み「曇り」で足踏み

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 業界最大手の野村ホールディングス<8604>の今期は、税前利益で14%増益を見込むものの、いぜんとして低水準にとどまる。旧リーマン社員を中心とした人件費や物件費を前期1000億円程度削減した効果が出るが、なお重いコストに見合った収益が上がらない。前期絶好調だった株式引き受け業務は反落が必至。トレーディング部門を中心に陣容急拡大中の米国子会社も今期は費用がかさみ、大きな収益貢献は期待しづらい。ブームを作ったブラジルなどの新興国物投信もややピークアウトの感が強い。

東海東京フィナンシャルホールディングス<8616>やみずほインベスターズ証券<8607>、岡三証券グループ<8609>など準大手以下も今期はせいぜい小幅増益どまり。しかも、直近の収益のピークだった06年3月期に比べると、今期の営業利益は3分の1、4分の1以下といった水準だ。

東洋証券<8614>、水戸証券<8622>、光世証券<8617>など国内株への依存度の大きい中堅証券の多くは、今期もなお黒字化が微妙な段階にある。

いぜんとしてリーマンショックの後遺症が残っているなか、新たに欧州ソブリン危機が襲ってきたことで、国内証券業界は警戒感を強めている。コスト圧縮など合理化の手は緩めることができない。岩井証券<8707>がコスモ証券を買収したように、オンライン証券業界を含めて業界再編が進む可能性もある。

(中村 稔=東洋経済オンライン)

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