多くの問いに自然に簡潔に答えるけれど、彼らの意思決定は今の日本の多数派とは異なっている。周りが気になることはないのだろうか。
ひとつのポイントは宮本さん夫婦の育った環境にあるようだ。「僕も妻も親から惜しみなく教育を授けてもらいました。やりたいことを親に邪魔されていないのです」。
たとえば宮本さんは結婚するときに姓を妻のものに変えた。妻が三姉妹の長女だった、ということが理由だ。育児休業も主夫になることも「僕の親から否定されたことがない」。宮本さんのご両親は共働きで「父は社会党系の市会議員だったので、平等意識が強かったのかもしれません」。
そんな環境ゆえであろうが、社会の流れの10歩くらい先を夫婦で歩いている印象を受けた。たとえば「イクメン」について意見を聞くと「そっち(男性も育児をする方向)に行くのは世の中としては当然ですよね」という答え。ちなみに「アベノミクスと女性活用」については「もう、どんどんいってください!って感じでしょうか」。社会構造や経済の変化を見たら、論理必然的に進む方向を冷静な目で見ている。
ただし「そうならざるをえない」ことと、「そうなるのが幸せ」はだいぶ違う。この違いまで見据えているのが、宮本さんの特徴だ。
「今後は夫婦両方とも働くのが普通になると思います。でも夫がイクメン化すればすべて問題は解決なのだろうか、という疑問はあります。イクメンは当然、会社においては1級戦力にはなりえません。よく『共働きはリスクヘッジ』と言われますが、2級労働者が2人になってしまっていいのか、といったような」。
もしこういうことを、家事育児をすべて妻に任せている男性が言ったなら、伝統的とか保守的と批判されるのかもしれない。しかし自身、共働き経験があり、今はイクメンをはるかに超える男性の言葉だけに、重い。そして実際、イクメン夫と共働き子育てをしている筆者から見ると、この指摘は実に的確だ。
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