【産業天気図・海運業】大型バラ積み船など回復着実、1年通じて「晴れ」以上、ただ欧州運賃相場は要注意
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
海運業の景況感は、2010年4~9月の前半が「快晴」。後半の10月~11年3月はリーマン・ショック打撃からのプラス反動効果が薄れるが、それでも「晴れ」を維持できそうだ。
前09年度は、リーマン・ショックの影響で中国から米国への家具輸送などコンテナ船の貨物が激減した。そこに、年率2ケタの伸びを前提として発注していた大型コンテナ船の大量竣工が重なり、需給不一致でコンテナ船運航各社は深刻な赤字に見舞われた。
世界全体では09年1年間のコンテナ船主要20社の赤字額が合計約1兆5000億円に。うち川崎汽船<9107>が670億円の部門経常赤字、商船三井<9104>が569億円の部門赤字、日本郵船<9101>が554億円の部門赤字を計上した。
大型の石油タンカーも空前の市況悪で赤字転落、米国向け自動車輸送もピーク比6~7割減と壊滅的で、09年度上期は底無し沼の状態だった。09年度上期の営業利益は日本郵船が370億円の赤字、商船三井が114億円の赤字、川崎汽船が424億円の赤字。底無しの業績悪化に危機感を覚えた日本郵船は1100億円の巨額増資を実施、川崎汽船も400億円弱の公募増資と第三者増資に踏み切った。
その後、コンテナ船各社が全体の1割に当たるコンテナ船を係船(船を港につなぎ止めて置き、運航しないこと)したほか、各社とも24ノットから18~20ノットへの減速航行を実施したために需給が改善。減速航行で燃料使用量も大幅に減り、前下期は一転、コンテナ船の収益が劇的に改善した。自動車船も貨量が採算線とされるピーク時の7割近くまで戻ったほか、大型タンカーも黒字化が見えてきた。