そうなんだ!「芸能界だって、実力1割、運9割」 プロの言葉に学ぶ「運やチャンス」のつかみ方!

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そして3年続けるためには、取捨選択が必要になる。やりたいことを全部なんて、無理なのだ。何を我慢し、何を捨てるのか。選んだものの大きさが、人生を形作るのだ。

「自分の器を小さく見積もるな」

いかに簡単にすばやく成功を手に入れるか。そんなふうに考える人もいる。しかし、インタビューしてきた成功者やプロフェッショナルたちから、そんな空気を感じたことは一度もない。多くの人が、ひたむきにコツコツと努力を続けていた。

そして、なぜコツコツとした努力が必要なのか、違う言葉で教えてくれた人がいる。本番さえうまく乗り切ればいい、というのがいかに危険な考え方であるか。実は日常が、すべてを作っているのだ。

「乱れた暮らしなんてしていれば、すぐにそういう人間の顔になる」
 ――松平 健(俳優)

徳川吉宗、武蔵坊弁慶、大石内蔵助……。松平健さんは、錚々たる顔ぶれを数多く演じてきた。だが、常に主役クラスを演じるからには責任を負う覚悟が必要になる。

「勧善懲悪のストーリーでは、主役には“爽やかさ”が求められると思っています。でも、それは演技力だけでは出せないんです。肉体的にも毎日しっかり鍛えておかないといけない。もっと言うと、普段の生活が問われてくるんです。乱れた暮らしなんてしていれば、すぐにそういう人間の顔になる」

教えてくれたのは、師匠の勝新太郎さんだった。松平さんは貧しい家庭に生まれ育った。工業高校を中退、寿司職人の見習いをしているときに観た映画が運命を変える。主演の石原裕次郎さんに憧れ、上京。八百屋で住み込みの店員をしながら劇団に通っていた。勝さんに会う機会を得る。東京に来て、3年が経っていた。付き人をしながら演技を学ぶが、なかなか役をもらえなかった。そんな中、ようやく出会ったのが、「暴れん坊将軍」の将軍役だった。

「『自分の器を小さく見積もるな』ということだったのかもしれません」

アドバイスもほとんどしない勝さんの数少ない指導のひとつが、将軍らしく遊べ、だった。主役に抜擢された後、安い居酒屋で飲んでいると、激しく叱責された。

「将軍役なんだから、もっといいところで遊べ! 安い店に行っていると、それが演技に出る。借金してでも高級店で飲め、と」

松平さんは忠実にそれを守る。3カ月で終わる予定だった番組は、実に26年も続くことになった。

***

運やチャンスのつかみ方は人それぞれ。しかし、多くのインタビューで感じたのは、「物事は捉え方ひとつ」だということである。一見、チャンスでないように見えるものが、実はチャンスだったりする。意識の持ち方ひとつで、人生は大きく変わっていくのだ。

また、力を発揮できる人の特徴は、やはり語れるだけのことをしている。だから、インタビューしても答えることができるのだ。「今、ヒーローインタビューを受けられるか、自問するといい」は、取材で聞いた言葉だが、極めて本質を突いている。

上阪 徹 ブックライター

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うえさか とおる / Toru Uesaka

ブックライター。1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒業。ワールド、リクルート・グループなどを経て、1994年、フリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍、Webメディアなどで幅広くインタビューや執筆を手がける。これまでの取材人数は3000人を超える。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品は100冊以上。2014年より「上阪徹のブックライター塾」を開講している。著書は、『1分で心が震えるプロの言葉100』(東洋経済新報社)、『子どもが面白がる学校を創る』(日経BP)、『成城石井 世界の果てまで、買い付けに。』(自由国民社)など多数。

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