人の限界を超えるテクノロジーは「神への冒涜」か ネオ・ヒューマンと「人工流れ星」で考える科学

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やっぱり「人類は」と言うのは、なんだか人間を特別なスゴイものと勘違いしているのではないのかなと思ってしまうのです。人類は特別なのではなく生態系を借りているにすぎないという謙虚な気持ちは忘れずにいたいです。

こういった感覚で『ネオ・ヒューマン』を読みましたから、私は、ネガティブな感覚はまったく持ちませんでしたし、純粋に楽しめました。

テクノロジーは人間を前進させる力になる

ピーターさんのように、科学的バックグラウンドのある人が難病の当事者になると、テクノロジーはすごく進化するのだなということを感じました。

2008年にがんで他界された、物理学者の戸塚洋二先生という方がいらっしゃいます。戸塚先生は、ご自身の亡くなる直前まで、闘病記を遺されました。

研究者らしく、腫瘍マーカーのグラフなどもすべて出して、精緻に考察し、CT画像から「ここががんの芽であった」といったことも逆算して分析されるなどしています。科学者が、科学とは違う分野で困難にぶち当たったときのマインドは、『ネオ・ヒューマン』ととても似ています。

今となっては、CTスキャンからがんを早期発見するスタートアップもあるほどですが、それが登場するよりもずっと前の話です。もし、戸塚先生に起業家関連の知り合いがあれば、この分野はもっと早く進歩したのではないかとも思いました。

そういう意味では、『ネオ・ヒューマン』は、スタートアップのマインドを示すビジネス書としても読めると思います。今までにないルールを新しく作る、新しい世界観を作っていく。そして、自分が実装しようとしている技術は、それぞれで市場ができる。数々のケーススタディが詰まっていますし、未来を想定してから考える、という思考法がこの本ではできますね。

なにより、ピーターさんは、テクノロジーの力をすごく信じている方だなとも思います。

あまり触れられていませんが、ピーターさんのお父さんはベンチャーキャピタルにお勤めで、新しいテクノロジーに触れている方なんですよね。そして、ピーターさんご自身もロボット工学を学ばれています。

もしかすると、テクノロジーが日々進化して、世の中が面白く変わっていくということを、すでに体感で知っていたのではないか、それが『ネオ・ヒューマン』へとつながっているのではないかと感じます。

私にもそのような感覚があるんです。私は、パラリンピックは、絶対にもっと面白くできると思っています。テクノロジーが進化すれば、人間の限界を超えた記録を出せるようになっていきますよね。

「そんなことを面白がるな」とおっしゃる方もいらっしゃるとは思いますが、それでもやはり、義足をもっと速くすることは可能でしょうし、今後、オリンピックよりもパラリンピックのほうが成績がよくなるという未来も十分ありうると思います。

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