狭小住宅に移り住んだ人たちが語る「本当の幸せ」 でかい家に住むだけが充実した生活ではない
10代から石材業で修業し、御影石のキッチン・キャビネットの事業を興したマネーさんは、2009年に荒れ放題だった3万6000平方メートルの広さのこの湖畔の土地を購入した。東京ドームの75%ほど広さの土地に、当時は30台以上の古いRVが駐車されており、RV所有者たちが土地賃料を払って、車の中で生活していた。
いわゆる「RVパーク」や「トレーラーパーク」と呼ばれる居住コミュニティで、フロリダだけでなくアメリカのあちこちにこのような場所が存在する。地価やアパート家賃が高騰する都市では、低所得者が暮らせる数少ない場所でもあるのだ。
「どれだけ豪華な家に住むかで、人間の価値が決まるわけじゃない。古びたRVに住んでいても、人格が素晴らしい人たちはたくさんいる。家は所詮、家に過ぎない。豪邸に住んでいても、ひどい人間もいるし」とマネーさん。RVパークの管理をし、芝生や木を自費で植えて整備をしながら、2011年頃から「将来はタイニーハウス専門のコミュニティを作ってみたい」と思い始めた。
入居は6カ月から10カ月待ち
その後10年間、RV居住者たちを誰も追い出すことなく、彼らのうちの1人がパークを去ってRVと共に他の場所に引っ越すたびに、空いた場所にタイニーハウスの所有者を1人ずつ迎え入れてきた。現在は、5台のRVと36戸のタイニーハウスが敷地内に同居している。
コミュニティへの入居希望者は多く、入居は6カ月から10カ月待ちだ。土地(ロット)の空きが出ると新しい入居者は自分のタイニーハウスを敷地内に運び入れて、マネーさんに土地の賃料を払って住む仕組みだ。大陸の反対側のカリフォルニア州からタイニーハウスを運んではるばる引っ越してきた住民もいる。
ロットの賃料は1戸あたり月に450ドルから600ドル。水道・下水料金やゴミ収集費、庭の整備費などがこの賃料に含まれている。電気代は別途で、月30ドルほどだ。
コミュニティ内には共同のランドリールームや菜園、たき火ができる炉もある。湖で遊ぶためのボートやカヤックも、敷地内に住むマネーさんから借りることができる。このコミュニティには、「アップルストアの店員から弁護士、医師、学生や看護師など」(マネーさん)さまざまな職業の人が住んでいるという。
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