狭小住宅に移り住んだ人たちが語る「本当の幸せ」 でかい家に住むだけが充実した生活ではない

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『タイニーハウス・ネイション』というテレビ番組の製作者の1人で、タイニーハウス設計デザイナーとして働くキム・ルイス氏は、2017年に開催されたロサンゼルス住宅ショーで筆者にこう語っている。

「タイニーハウス・ライフを志向するのは、何も生まれつきのミニマリストだけじゃない。むしろ大量のモノを持ち、モノの置き場所を確保することに縛られてずっと生きてきたけれど、全然幸せじゃない、もうこんな生活は嫌だと気付いた人たちが、タイニーハウス生活に魅力を感じるケースが意外に多い。多くのアメリカ人同様、私もその1人だったから、気持はよくわかる」

ルイス氏に家のデザインを頼む顧客は、「引退してからではなく、若いうちに世界中を旅したいし、そのための資金は絶対にキープしたい。でも同時に、他人と壁を共有するアパートではなく、小さくても自分が所有する個性的なデザインの家に住みたい」という2つの願望を叶えたい人々が多いという。“自由に飛び回りたい鳥たちのための巣”がルイス氏のタイニーハウスのデザインの概念で、全米各地や海外からも注文があるそうだ。

住宅ローンや借金に縛られない生活を実現

中古や作りかけのタイニーハウスを探して購入し、それを自力でリフォームし、完成後に売却する副業も手掛けているマネーさん。彼は、物件はこれまですべて現金払いで購入してきた。住宅ローンや借金に縛られない生活を30代で実現できたことの喜びと開放感をこう語る。

広いデッキが付いた青いタイニーハウス(写真:マネーさん提供)

「ここ数年、頻繁にメキシコやアメリカ中を旅行して楽しんでいるよ。多くの人がそうだと思うけど、年を取って身体にガタがきてから旅行をする時間と資金がやっと手に入るのが普通の人生。でも、自分はそれでは遅すぎると思っていた。

若く、身体が十分動くうちに旅をとことん堪能するのが夢だった。今も早期引退には興味がないし、今後もこのコミュニティを発展させるために一所懸命働く。でも、好きな時に休暇が取れる生活を実現できて嬉しい」

彼のコミュニティの目の前にある美しいフェアビュー湖の反対側の岸には、数億円から数十億円はする豪邸が建ち並ぶ。「湖畔の豪邸に住んで住宅ローンを払うために、湖での釣りやボート遊びを我慢するような生活を送りたくない。今が幸せ」とマネーさんは言う。

長野 美穂 ジャーナリスト

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ながの みほ / Miho Nagano

米インベスターズ・ビジネス・デイリー紙記者として5年間勤務し、自動車、バイオテクノロジー、製薬業界などを担当した後に独立。ミシガン州の地元新聞社に勤務した経験もある。

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