うまい投資話に乗る人がこうも後を絶たない理由 元本保証・高リターン信じる人に欠けた思考法

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そもそもシンプルに考えれば、おいしい話なんてないということはすぐに理解できるはずだ。少しでも高い利回りで資産を増やしたいという投資家が世界中にいるのだから、仮においしい話があったとしても、すぐに世界中から投資家が殺到していずれはなくなってしまう。このことをより理解するために簡単な例を1つみてみよう。

海沿いのA村では魚がいっぱい獲れるので魚は1尾100円で売っているが、隣のB市では魚が1尾500円で売られているとする。賢い人はA村で魚を買って、B村で売れば苦労することなく400円の利益を得ることができることに気づくだろう。

しかし、多くの人がその行為をすると、次第にA村で魚の量が減り徐々に値段が上がっていき、B村では魚の量が増えていくことで値段が下がっていく。そして、どこかのタイミングで両方の村における魚の値段は等しくなる。

このように、仮においしい話があったとしても、すぐにそのような話は知れ渡ってしまい、結局は長続きしないのである。このように何かしらの理由であるモノの値段に価格差がある場合などにおいて、安いほうを買い、高いほうを売ってリスクなく稼ぐことを裁定取引やアービトラージと言うが、市場が効率的であればそのような機会はすぐになくなってしまうのだ。

そう考えれば、ノーリスクでハイリターンを得るというのはほとんどが詐欺案件でしかなく、だいたいはリスクとリターンがおおよそ比例しているという認識を持つべきだということがわかるだろう。

資産運用にも活きる考え方

この内容は金融詐欺から身を守るという意味では防具としての金融リテラシーということになるが、当然ながらこれらの知識は資産運用にも活かすことができる。資産運用をする場合、ほとんどが老後資産の形成など投資に失敗して投資資金の大半をなくすようなリスクの高い投資はできない。しかし、前述のようにリスクを取らなければリターンを得ることはできない。

そこで、期待されるリスクとリターンがそれぞれ違う資産をうまく組み合わせながら、自らの資産運用の目的に適したポートフォリオを組んでいく必要がある。最も代表的なものは国内外の株式、国内外の債券という伝統的な4資産を組み合わせたものになるが、昨今では手数料が非常に低いバランス型の投資信託も数多くあるため、リスクとリターンを意識しながら自分にピッタリの商品を探すとよいだろう。これらについてはまた別の機会に詳述したい。

このように、金融リテラシーを身につけることは資産運用にも、詐欺から身を守ることにも重要であり、運用の世界では基本であるリスクとリターンの関係を知っておくだけでお金に関する苦労は大きく減らせるということを頭に入れておきたい。

森永 康平 マネネCEO/経済アナリスト

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もりなが こうへい / Kohei Morinaga

証券会社や運用会社にてアナリスト、エコノミストとしてリサーチ業務に従事した後、複数金融機関にて外国株式事業やラップ運用事業を立ち上げる。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、各法人のCEOおよび取締役を歴任。現在は法律事務所の顧問や、複数のベンチャー企業のCFOも兼任している。日本証券アナリスト協会検定会員。株式会社マネネTwitter

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