工作機械の"アップルストア"に行ってみた これがDMG森精機のグローバル戦略拠点だ
工作機械の需要先として規模が最も大きい自動車業界では今、トヨタ自動車と独フォルクスワーゲン(VW)の販売競争が激しさを増している。
2013年にトヨタが一足早く世界販売1000万台を突破したのもつかの間、今年はVWもトヨタを追い越さんばかりの勢いで、大台を突破しそうだ。DMG森精機グループは工作機械における日独それぞれの大手メーカーであり、トヨタとVWの両グループを主要顧客として抱える。連合を組むことで自動車の世界2強を囲い込もうという戦略だ。
“いいとこ取り”の製品戦略
連合を組むことの主なメリットが、機種の充実とグローバルな供給力である。森社長によれば、近年では日本の自動車メーカーが、レーザーや超音波など特殊な加工に強いドイツの工作機械に興味を持ち、ドイツの自動車メーカーが、より小型化するエンジン部品に対応するために、小型部品の加工に長けた日本製の工作機械に関心を示す、という構図になっているという。
互いが強みを持つ機種を持ち寄ることで、多様化する顧客のニーズに応えられる。東京に日独の機械を15台ずつ用意したのも、こうした背景がある。
一方で、日独が互いに手掛ける重複機種は統合を進める。両社の“いいとこ取り”をした機種にモデルチェンジし、現在350ある機種を20年までに100程度へ整理する計画だ。
自動車メーカーは、今後ますます世界各地で増産投資を強める。日独両社が世界中に持つ生産拠点を互いに活用することで、どこにでも供給できる能力が備わるのも強みだ。日本、欧州、米国、中国、そして年内にはDMG MORI SEIKIのロシア工場が稼働し、体制が整う。NC(数値制御)装置やベアリングといった主要部品のサプライヤーも海外生産に積極的で、調達網の構築にも不安はないという。
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