雪国まいたけ、創業家の逆襲でどこへ行く 不祥事でいったんは放逐されたはずが・・・

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それによると「当社の経営が創業家兼大株主の影響を受けないことを創業家大株主との間で確認しているほか、資本と経営の分離から、当社の経営方針およびこれに基づく具体的施策等にかかる意思決定ならびにその執行に関与しないこと、ならびに創業家大株主の出資割合を引き下げることについて交渉を継続していくことを内容とする覚書を平成26年8月上旬頃を目処に締結することを予定している」とのことだ。

前経営陣が示した改善報告書の約束は守っていく、としているわけだ。ただクーデターで経営権を奪還した創業家と、その創業家が推挙した経営陣との覚書であり、経営陣に対してどの程度の拘束力を持つものか、それを第三者が信用できるものなのか、にわかには推し量れない。

すでに大幅に下がっていた株価は無反応

マイタケやブナシメジなど雪国まいたけの商品そのものに欠陥があったわけではないが、総会のあった6月27日以降も同社の株価はほとんど動いていない。無反応なのだ。すでに同社は、2期連続の赤字決算で株式市場での信用を大きく失墜しており、経営に関する前代未聞の異常事態も、市場では何ら材料にならなかったようだ。上場企業としての信用そのものが、地の底に潜ったかのようだ。

14年3月期は黒字に復帰したものの、自己資本比率は1ケタ台にとどまる。業績の回復とともに市場での信用回復という重い課題を達成するのは容易ではない。また食品事故ではないとはいえ、消費者の口の中に入る食品を扱う企業の経営に関するドタバタだけに、まったく同社の業績に影響を及ぼさない、とは誰も言い切れまい。
 

鶴見 昌憲 東洋経済 記者

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つるみ まさのり / Masanori Tsurumi

紙パルプ、印刷会社等を担当

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