横浜市長選、菅首相を襲った「最側近惨敗」の痛撃 自民総裁選先行論が支配的、「9月解散」は困難に

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そもそも、任期満了に伴う今回の横浜市長選は、与野党の候補者擁立作業も含めて異例ずくめの展開だった。横浜市民の多くがカジノ反対を叫ぶ中、IR誘致を推進してきた林文子市長(75)に対し、地元の自民党市連が「多選」を理由に出馬辞退を要求。さまざまな後継候補が取り沙汰される中、6月に突如出馬表明したのが小此木氏だった。

小此木氏はその時点で自民神奈川県連会長を務める一方、東京五輪警備の最高責任者の国家公安委員長に在任中だった。しかも、菅首相の肝いり政策で知られるIR横浜港誘致の取りやめを掲げての市長選立候補に、報告を受けた菅首相はしばし絶句したという。

中盤以降、山中氏が一気に引き離す

小此木氏は世襲政治家で、父親の彦三郎氏(故人)は通産相や建設相など要職を歴任した有力議員だった。その彦三郎氏の秘書から横浜市議を経て政界入りしたのが菅首相だ。

家族同然の関係の小此木氏は菅首相にとって側近中の側近だけに、誘致反対の小此木氏の支援をあえて表明し、首相の周囲を固める坂井学官房副長官と政務の首相秘書官まで小此木陣営に送り込んで必勝を期した。

これに対し、山中氏は立憲民主党が擁立、共産、社民両党などが支援する事実上の野党統一候補として誘致絶対反対を掲げて立候補した。現職の林氏は誘致推進派の横浜の財界や一部市議の後押しで出馬を決断し、松沢成文・前神奈川県知事(63)、田中康夫・元長野県知事(65)らも参戦する「有力候補だらけの選挙戦」(自民選対)となった。

選挙情勢は当初、小此木、山中、林の3氏による大混戦とみられていた。しかし、選挙戦中盤以降は小此木、山中両氏による「与野党対決」の構図となり、政府のコロナ対応に不満を持つ無党派層などの支持を得た山中氏が小此木氏を一気に引き離した。

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