シンガポールで見た「日本の母」が苦悩する近未来 それでも「母親の役割が重くなる」3つの理由

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なぜ女性のほうが賃金労働をする時間が短いのか。2013年のMinistry of Social and Family Developmentによる社会態度調査で、「あなたと配偶者のどちらがより多くを担っていますか」に自分だと答えた割合は「ケア」については妻が51%に対して夫は4%、「家事」については妻が59%で夫は3%だった。

つまり、女性のほうが家事や育児などの家庭内の無償労働を多く担っている。そして、前回までに見てきたように、子どもの教育のために仕事を辞めたり休んだりするのもほとんど女性だ。

シンガポールの父親はそんなに育児参加しているのか

とはいえ、シンガポールでは「夫はハンズオン(実務上の役割を果たしてくれる)」という声もよく聞く。送り迎えを父親がやるというケースは多いし、そもそも日本ほどは長時間労働をしていないので、日本に比べれば父親の家事育児参加度は高く見える。コロナもあり日本でもだいぶ感覚は変わってきたとは思うが、一緒に夕食を取れる父親も多い。

しかし、直接インタビューをしていくと、「うちの夫は何もしない。楽しいことだけ」という話もあれば、「うちの夫はハンズオン」と言いながらも、具体的な家事・育児のかかわり度合いを聞くと、週末に公園に遊びに連れていってくれることだけを高く評価しているというケースもあった。

実のところ、シンガポール人の男性と日本人の男性でやっている家事・育児の量がそれほど異なるとは思えない。なぜなら、これまで連載で説明してきたとおり、家事はメイドに、食事は外食でもいいといったカルチャーがあるゆえに、両親がやらないといけない家事育児の総量が違うのだ。

つまり、シンガポール人男性がそんなに家事育児に献身的な人ばかりではないが、そういうケースでも妻がやっている内容もそこまで重くない。母親であっても「仕事が終わった後にジムに行ってから帰宅する」など、メイドや祖父母が夕飯を食べさせてくれることを前提に「MeTime」(自分時間)を確保しているケースもある。

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