ウォール街がアメリカを作ったのではない!
「ゴールドマン・サックスのために中国の金融市場の開放を求めることは、アメリカの優先交渉事項ではない」
ジェイク・サリバン大統領補佐官(安全保障担当)が、大統領選挙前に記した言葉だ。同様のメッセージはバイデン大統領からも発せられる。「ウォール街がこの国を作ったのではない。中間層の皆さんが、この国を作ったのだ」。今年4月に上下両院合同会議でバイデン大統領がこう述べると、議場は拍手に包まれた。
トランプ政権には、ゲイリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長、スティーブン・ムニューシン財務長官と、元ゴールドマン・サックス(GS)幹部が中枢に入った。ムニューシン財務長官は、ライトハイザーUSTR代表と共に、米中貿易交渉の中核を担った。2020年初に調印された米中の第1段階合意では、「金融サービス」の項目で、中国金融市場における外資の出資制限の緩和等が盛り込まれた。
労働者重視はトランプ政権でも見られた。大統領選で勝つには、中西部ラストベルト(錆びた製造業地帯)での勝利が必要だ。民主、共和の両党ともに製造業労働者を重視するが、バイデン政権はこの傾向を強めた。
バイデン政権には、国家経済会議のブライアン・ディ―ス委員長や、ウォーリー・アディエモ財務次官など資産運用会社ブラック・ロックの出身者はいるが、GSなどの投資銀行の幹部は限られる。証券取引委員会(SEC)委員長に就任したゲーリー・ゲンスラー氏はGS出身だが、オバマ政権時代に米商品先物取引委員会(CFTC)の委員長としてウォール街への厳しい姿勢で注目された人物だ。
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