「滴滴出行」の株価暴落に映る米中金融摩擦の行方

中国の「ドル覇権打破」戦略に勝ち目はあるのか

ウォール街は疑心暗鬼になっている(写真:Qilai Shen/Bloomberg)
米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。
コロナウイルス危機で先が見えない霧の中にいる今、独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

「滴滴出行」の株価暴落

6月30日、中国配車アプリ最大手「滴滴出行」(DiDi)がニューヨーク証券取引所に上場、公開株価は仮条件上限の14ドル(時価総額約8兆円)になり、市場から大いに歓迎された。同社は会社設立から約9年、AI、データシステムを駆使したビジネスモデルにより急成長、市場の好反応もうなずける。

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が、まもなく市場に激震が走る。7月4日、中国当局による「滴滴の個人情報収集の違法行為を確認し、アプリのダウンロード停止命令」、6日に「中国政府、海外上場企業への監督強化」のニュースが入ると株価は前週末終値に比べ25%暴落した。

昨年11月、世紀最大の株式上場と謳われた「アント金融」のナスダック上場の「無期延期」が記憶に残るなかで、今度は滴滴の株価暴落、ウォール街が今疑心暗鬼になっているのは、米中金融摩擦が、どこに行きつくのかだ。

「チャイメリカ」の米中金融関係

「新冷戦」と言われる中、皮肉にも米中間の金融ビジネスは活況を見せている。

日本経済新聞によると、アメリカの対中証券投資総額は約1.2兆ドル(約130兆円)で、その75%は株である。対し中国の対米証券投資総額は約2.1兆ドル(約230兆円)で、アメリカの対中証券投資額を超える。しかし、その9割以上(約1.96兆ドル)が米国債で、保有額は日本に次いで多い。

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