2030年には50代の3人に1人が一人暮らし--『単身急増社会の衝撃』を書いた藤森克彦氏(みずほ情報総研主席研究員)に聞く

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--中高年の一人暮らしがなぜ増えているのでしょう。

人口増による要因と、それ以外の非人口要因とに分けてみると、非人口要因という質的な要因が大きい。05年から30年の変化でみると、人口要因は薄れ、質的な変化の影響が強まる。配偶関係と、親子の同居関係での変化だ。単身世帯は、配偶者と死別、離別した人、あるいは未婚の人が増えれば増加する。もう一つ、子どもと、あるいは親と同居しなくなる、つまり子の独立が増えれば増加する。

この二つの関係から見てみると、若い世代で未婚が増え、男性の場合、50代、60代でも未婚者の伸びが大きい。離別も多い。実際に未婚者の割合は、85年に男性の40代で6・1%だったものが、05年には19・6%にも跳ね上がっている。となれば、この事実は25年後の30年における60代の配偶関係に伴う単身者増を裏付ける。

--生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合)という概念も使われています。

その生涯未婚率は、05年に男性で16%。ざっと6人に1人が未婚だった。それが、30年には29%、3割近くになる。つまり3人に1人が未婚。このインパクトは大きい。未婚の単身世帯の増加は、未婚者が親と同居しなくなったことによる影響ではなく、未婚率の上昇によるものといえる。

--単身世帯に地域的な特徴もあります。

30年の将来推計で驚かされたのは、高齢女性での単身世帯分布。鹿児島県が70代で2位、80代以上はトップになっている。全体的には都市部、中でも東京、大阪に多いという特徴の中で、高齢女性の親と子の同居率も鹿児島は低い。その一方で「死別・離別・未婚」の割合は高いグループに入る。それらの要因が重なっているようだ。

30年になると、東京の男性の50代、60代は32%、35%が一人暮らしになる。大阪でも3割前後で、50代、60代の3人に1人が一人暮らしといっていい。これは現在の日本の社会の中ではイメージしにくい。50代といえば仕事に脂が乗っている最中のはずだが。特に都市部では、離職すると、今までのネットワークが切れる傾向にある。個々人が社会的にほかのネットワークをどうつくっていくか。都市部での単身者にとって大きな問題だ。

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