コロナ禍「温室効果ガス5%削減」が意味すること ビル・ゲイツ氏が語るネットゼロへの取り組み

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ビル・ゲイツ流の気候変動問題への対処法とは(写真:Takaaki Iwabu/Bloomberg)
長きにわたる新型コロナウイルスとの戦いが終わったとしても、その次にやってくるのは「気候大災害」との戦いだ――。2021年に入り、2回のサミットや秋のCOP26を舞台に、国際的な議論が進む気候変動対策。企業もこぞってSDGsに取り組む一方、各国政府も温室効果ガスの排出量削減を進めようとしている。
パンデミックを予見し、コロナ禍においてはワクチンの開発と普及に尽力したマイクロソフト共同創業者、ビル・ゲイツ氏は、これまで10年以上をかけて気候変動問題に積極的に取り組み続けてきた。気候変動問題への対処が待ったなしの中、命を救い、失職者を出さず、経済を前に進めていくためにはどうすればよいのか。ゲイツ氏による20年ぶりの著書『地球の未来のため僕が決断したこと――気候大災害は防げる』から紹介する。

新型コロナの惨状は驚きではない

2020年、新型コロナウイルスが世界中に広がって、大きな被害が生じた。パンデミックの歴史を知る者には、COVID–19による惨状は驚きではない。僕は長年、国際保健への関心の一環として爆発的感染について学んでいて、数千万人の死者が出た1918年のスペイン風邪のようなパンデミックに対処する備えがないことを深く懸念していた。

そして2015年にはTEDやいくつかのインタビューで、爆発的感染を発見してそれに対処する仕組みをつくる必要があると論じてもいた。元アメリカ大統領のジョージ・W・ブッシュらも同様の主張をしている。

残念ながら世界はほとんど備えを整えず、新型コロナウイルスに襲われると多くの死者が出て、経済も大恐慌以来の打撃を受けた。気候変動関連の仕事も大部分はつづけていたが、メリンダ(・ゲイツ氏)と僕はCOVID –19をビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の最優先課題とし、僕たち自身の仕事の焦点をそこに合わせることにした。そして毎日、大学や小規模企業の科学者、製薬会社のCEO、政府首脳らと話をして、検査、治療、ワクチン開発に弾みをつけるために財団が手助けできる方法を探ってきた。

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