中国の銅の消費量は今や世界の4割を占めている。そのボリュームの多さがこうしたマネーゲームを支えていたわけだが、今や中国経済が急速に冷え込む中で、不正担保で元とドルの為替差を利用したマネーゲームは、終焉を迎えつつある。
マネーゲームは続かない
資源輸入が急減しているだけではない。今や各地の銅在庫がアセアンのLME倉庫に移されつつある。そして、多重担保の事件の余波で調査がさらに厳しくなったことから、融資獲得が困難になり、業者は保税倉庫に眠っている銅在庫を放出し始めた。
一方、鉄鋼の余剰在庫も、依然かなりの数量にのぼるといわれている。現在の鉄鋼生産能力は日本の鉄鋼生産量の約10倍ともいわれるが、生産過剰量は3億トンに上るとの情報もある。つまり、日本の鉄鋼生産量が約1億トンであるから、その3倍もの余剰在庫があるのだから、異常な事態といわざるを得ない。あふれ出た在庫がアジア全域の鉄鋼市場を攪乱していることから、世界経済に及ぼす影響は深刻度を増している。
金属資源の価値も、最終的には需要と供給のバランスで決定されるのは当然のことだ。だが、資源国である中国は、国内秩序を整備せずに自由経済を地方政府に押し付けているので、一見、数字上は一過性の経済発展を遂げているようにみえる。
だが、結局、経済の歪みやたわみが社会全体に蓄積して、自らの経済発展すらも台無しにしているという見方もできる。非鉄相場にしても、鉄鋼相場にしても、巨龍中国の動向に一喜一憂する状況が簡単に解消されることはない。だが、大きな流れではダウントレンドであることは間違いないので、今後の相場は、十二分の注意が必要だ。
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