ということで、来月行われる自民党総裁選挙は久々のガチンコ勝負になるのではないか。このところ、消化試合のようなレースが続いてきたけれども、自民党総裁選といえば過去には何度も名勝負があり、政策の転換点となってきたものだ。1998年の「凡人、軍人、変人」の戦いでは、小渕恵三氏が勝利したことで銀行の不良債権問題を、ハードランディングではなくソフトランディングで処理することが決まった。
また2001年の総裁選では、小泉純一郎氏が橋本龍太郎氏を破ったことで「聖域なき構造改革」路線が定着した。今回も、行き詰まり気味に見える政府のコロナ対策をリセットするために、なるべく多くの候補者が立って激論を交わしてもらいたいものである。
8月22日横浜市長選の結果次第で「総理の責任論」も?
実は菅義偉首相にとって、世論調査の動向以上に悩ましい問題がある。冒頭の政治日程で確認していただきたいが、それは五輪閉会日の8月8日に公示され、ほぼ2週間後の8月22日に投開票となる横浜市長選挙である。総理のおひざ元、377万人の大都会で行われる首長選挙だが、候補者乱立でまるで予想が立たない混戦となっている。
争点となっているのは、複合型リゾート(IR)の誘致の是非だ。「横浜にカジノを作る」という市政に対し、立憲民主党はカジノ反対派の山中竹春・元横浜市立大教授(48)を擁立した。これに対し、前国家公安委員長の小此木八郎氏(56)が閣僚の座を投げ打って市長選への出馬を決断。小此木氏はIR法案には賛成だが、横浜での建設には反対という立場である。
すると現市長の林文子氏(75)が、IR推進の立場から4期目の出馬を決断した。これでは保守分裂選挙となってしまうが、さらに元神奈川県知事の松沢成文参議院議員(63)も名乗りを上げている。さらに元長野県知事の田中康夫氏、弁護士の郷原信郎氏(66)なども併せた合計9候補が出馬し、文字通りの大混戦となりそうだ。
菅首相の身になってみれば、自ら推進してきたIRが地元に誘致できないのは面白くないだろうが、ここは自民党候補である小此木八郎氏を応援するしかない。政治の世界に菅氏を導いた大恩人、小此木彦三郎氏への恩返し、ということもある。
とはいえ、これだけ候補者が出てしまうと、「有効投票数の4分の1を超える候補者が出なくて再選挙」という可能性も否定できない。あまりに意外な結果が出るようだと、「総理の責任論」ということになりかねず、これまた東京五輪後の注目点ということになる。
デルタ株が蔓延して、いよいよ外出もままならない盛夏、そして猛暑が到来している。東京五輪も間もなく終わるとなれば、せめて政局ウォッチングで一服の涼を得たいものである(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースや競馬論などを語るコーナーです。あらかじめご了承下さい)。
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