8月13日以降「菅下ろし」が始まるかもしれない 東京五輪後の解散・総選挙のシナリオを読む

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ただし足元の状況は、そんなに生易しい感じではなくなってきた。何より菅内閣の支持率の低下が止まらない。「ワクチン→五輪→総選挙」というシンプルな戦略を突き進む菅首相だが、ワクチン接種はトラブル続きだし、変異種デルタ株は2度接種済みの人でも感染するという。これでは苦労の甲斐がないというものだ。

そして東京五輪はメダルラッシュに沸いているけれども、それが政権浮揚につながっている感じはない。7月23~25日に日本経済新聞が行った世論調査では 、菅内閣の支持率は34%にまで落ち込んでいる。ちょうど五輪が始まった時期であり、金メダルも出ていたことを考えると、五輪効果はあまり期待できないようにみえる。

8月13日以降に「菅下ろし」も?

世論調査と言えば、唯一、面接方式で実施している時事通信社のデータが興味深い動きを見せている 。7月の内閣支持率は29.3%と3割を割ってしまい、自民党の支持率21.4%と足し合わせると50.7%となった。

永田町には「青木の法則」なるものが広く知られていて、「内閣と与党第1党の支持率を足して5割を割ったら、その内閣はつぶれる」という。かつて参院のドンと呼ばれた青木幹雄氏に由来するらしいが、これは「諸説あり」である。

ともあれ菅内閣の「青木レシオ」は、文字通り危険水域まで低下している。菅氏は「時事とNHKの世論調査を重視している」と言われるので、8月13日発表予定の次回8月の時事通信調査には要注意だ。この数字次第では、自民党内で「菅下ろし」が始まるかもしれない。つまり、「こんな人気のない総理の下で選挙は戦えない」と議員たちの動揺が広がるのだ。

「総選挙が目前に迫っている」のももちろんだが、来年夏の参議院選挙も残り1年を切っている。有権者としても、頼りない野党に政権を委ねるのはちょっと怖いが、参院選となれば遠慮なく与党にお灸を据えられる、というのは過去に何度も繰り返されたパターンだ。この夏は衆参を問わず、自民党議員の焦燥感は高まっているだろう。

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