「姿勢が悪い人」が実は緊張状態にある意外な理由 ネガティブ思考が生み出す緊張が体を縛る

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私たちが「正しい」と思い込んでいるものには、逆に私たちを縛ってしまっていることが少なくありません。一番典型的なのは、筋肉をかためた「気をつけ」の姿勢ですね。いままで正しいと思ってやってきたことの中に、落とし穴が潜んでいるようなものです。

でも、「正しい」っていったい何なのでしょう。私たちはたいてい、子どもの頃から「正しいことを正しいやり方でしなさい」と言われて育ってきました。だけど、それを信じきってしまうと、もしそれが間違っていた場合、「もう戻りようがない」「もう取り返しがつかない」ってことになっちゃいますよね。

それに、いまの時代は情報があまりに多すぎるし、正しいと見せかけたフェイク情報も蔓延していて、どれが正しいのか見分けがつかなくなっています。

「正しさ」に当てはめると体が緊張する

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「どこかに正しさがある」「誰かが正しさを提示してくれる」というのは幻想にすぎません。そもそも、正しさとは時と場合によりますし、時代によっても変わってきます。かつて大切にされていた「密なコミュニケーション」が、コロナ禍で避けられるようになってきたことも、1つの例だと思います。

私は、そんなに「正しさ」にとらわれる必要はないと思います。「正しさ」の型に自分を当てはめようとすると、あせりや緊張から自分を窮屈に縛ってしまい、かえって理想とはかけ離れてしまいます。

では、いったいどうすればいいのか。私は、「正しさ」ではなく、「ラクさ」「快適さ」「自然さ」など感覚の質を追い求めていくべきだと思います。つまり、何らかの答えを見つけたいなら、呼吸に耳を澄ませ、体の声に耳を傾けて、より快適なほう、より自然でラクそうなほうを選びなさいということ。私たちが「追い求めるべきもの」はいつも自分の体の中にあるのです。

大橋 しん 理学療法士、アレクサンダー・テクニーク国際認定教師

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おおはし しん / Shin Ohashi

岐阜生まれ、神戸在住。(株)フローエシックス代表取締役。ドイツでチェロの修業中にアレクサンダー・テクニークを知り、帰国後に理学療法士とアレクサンダー国際認定教師の資格を取得。救急病院勤務を経て、整形外科クリニックにて「特命理学療法士」として数々の難しいケースを解決。2020年に独立し、リハビリと太極拳を中心としたスタジオを開設。著書に『魔法のフレーズをとなえるだけで姿勢がよくなるすごい本』(飛鳥新社)がある。

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