情報漏洩や本業への支障などを理由に消極的であった企業に話を聞くと、副業禁止が優秀な人材の流出防止につながりそうであるなど、メリットも考えられるようになってきたようです。
ある大手金融機関の人事部長のところには、
「同業のⅮ社が解禁しているのに、どうしてわが社はダメなのですか?」
といった副業に関する質問が増加。解禁しないと会社を辞める可能性がある社員が相当にいることを感じて、方針を変えたと話してくれました。
期待と仕事ぶりのミスマッチが起こるのはなぜ?
職場で副業ワーカーと接することになったときには、覚悟が必要になると思います。ここでいう覚悟とは困難なことを予想して、それを受けとめる心構えをすること、要するにマネジメントです。
副業ワーカーは、専門性は高いが勤務時間が短い。ですから、お願いする仕事を具体的にしておかないと、期待通りの成果が得られないことになりかねません。いつまでに何をしてほしいのかといった、的確な依頼が必要となります。
さらに悩ましいのが、同じ職場で長く仕事をしている正社員同士のカルチャーや風土の理解がないまま、仕事をお願いして「何となく期待と違う」と思える成果物が出てきたとき、あるいは発言があったときに、その責任はどちらにあるのか、といったことです。
いくつかケースを紹介します。あるメーカーで商品企画の計画策定をするため、㏚業界の経験が長い副業ワーカーを採用しました。ところが、出てくる意見は”的外れ”に思えるものばかり。頼んだ会社からすれば期待外れ、でも、副業ワーカーからすれば「では、どのような発言をすればよかったの?」となり、残念ながら短期間で契約は終了となってしまいました。
あるシステム会社では、プログラミングの依頼を副業ワーカーにしたところ、途中で「割が合わない」と金額の見直しを依頼してきました。その金額を聞いて「ありえない」と怒りをあらわにする社員もいましたが、今さら社内で対応できる人材もいないので、見直しを受け入れました。ところが、納期までに完成することはできずに、最終的には1カ月以上も遅れて完成。クライアントからクレームを受けることになりました。
これらのように、お互いに「二度と頼みたくない」という最悪の関係で仕事が終わることになります。こうした、期待と違う仕事ぶり(成果物)がどうして起きたのでしょうか。
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