40代で「FIRE」すると年金はどれくらい減るのか 年金受給額は「平均賃金」と「加入期間」で決まる
公的年金制度とFIREとをどう接合していくかは、今まであまり指摘がされていませんでした。どうしても運用テクニックに主眼が集まっていたからです。
しかし「FIREによって将来の年金額が下がることを織り込んで、資金準備を行うこと」は考慮しておくべきことと思います。特に、70歳代以降については資産運用から手を引くことも考えられ、運用収益で暮らしている限り資産は減らない、というようなモデルが通用しなくなります。
だからこそ、公的年金は終身でもらえるメリットがあるわけですが、FIRE挑戦者は年金水準が下がるデメリットを背負い込む覚悟が求められるわけです。
FIRE実現の時期によって年金水準も変化
ここで「約2000万円+2000万円」としましたが、これは30~40歳代でのFIREを目指す場合の話です。厚生年金に加入する期間が短すぎるために影響を受けています。
これがもし「プチFIRE」や「50歳代FIRE」を目指すとどうなるでしょうか。
まずプチFIREであれば、5年早いリタイアを目指していますから、公的年金についてはあまり影響しません。38年と43年の違いは期間にして12%の影響がある理屈ですが、現在のリタイア年齢では最後の5年間の賃金は低くなります。つまり、平均賃金は43年のほうが低くなるため、年金額が12%下がるほどの影響はないからです。「プラス2000万円」の上積みを図る必要はないでしょう。
50歳代のFIREはその中間になります。半額になるほどではありませんが、年金額が4分の1くらいは下がる影響を考える必要があります。「プラス1000万円」くらい見込めると安心です。
より具体的に検証したい場合は、国の年金WEBサイトである「ねんきんネット」でシミュレーションをすることができます。自分の公的年金の加入履歴を確認し、そこまでの加入条件での年金額を見るだけではなく、その後の加入履歴を踏まえたシミュレーションができるようになっています。
ところで、FIREを目指す人は20歳代から30歳代にかけて年収を大きく高めることが多いと思います。世の中の平均が300万円台のところを700万円以上とした場合、早期リタイアをしてもあなたの平均賃金(保険料を納めていた期間)は高いことになります。
ゆえに厚生年金額もアップしそうな気がしますが、落とし穴は「加入期間」のほうです。年金額計算では「平均賃金」と「加入期間」のかけ算をするため、20年ほど厚生年金未加入であることがやはり年金額のダウンに大きく影響します。
若いうちからたくさん稼げるようになったとしても、基本的には老後の年金水準が高まると考えないほうがいいでしょう。
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