40代で「FIRE」すると年金はどれくらい減るのか 年金受給額は「平均賃金」と「加入期間」で決まる
厚生年金についてはどうでしょうか。
厚生年金保険料には国民年金保険料が含まれている仕組みとなっていますので、会社員を続けた場合、老齢基礎年金をもらい損ねる心配はありません。
FIREをしてリタイアしたあとは、厚生年金保険料を納める義務はありません。しかし、老後の年金額に影響が出ます。
厚生年金について、計算式を簡単にいえば
となります。もっと簡単にいえば
・加入年数が長い人はその分年金額も増える
ということです。
20年早くFIREしたら、厚生年金は「およそ半分」
仮に同じ年数働いた同僚2人であっても、片方がずっと平社員で片方は役員までのぼりつめれば、その差は年金額にも跳ね返ります。給与が高いほど保険料もたくさん引かれ、その分年金額が増えるからです。平均賃金が1.5倍になれば、年金額も1.5倍ということです。
仮に平均賃金が同じであった2人でも、45歳で辞めて以降はアーリーリタイアした人と、65歳まで働いた人では長く働いたほうの年金額がその分アップします。23年働いてFIREした人と43年働いた人とでは早期退職した人は年金がほぼ半分ということです。
これは厚生年金制度の設計が「報酬比例」という仕組みであると同時に、本人の加入履歴によって年金額が変化する仕組みを採用しているからです。
そうすると、FIREを目指す人には大きな問題があります。それはつまり「早期リタイアすると、その分厚生年金水準が下がる」ということです。標準的な老後をスタートした以降の定期収入(しかも終身)の金額が大幅にダウンするということです。
そうすると、通常のFIREに必要な資産の上積みだけでは十分ではなく、65歳以降の本来のリタイア生活が始まったとき、公的年金水準がダウンする分を上乗せしてFIREを準備していく必要があります。
標準的な夫婦は合計で約22万円を毎月もらえます。基礎年金相当分を引くと約10万円が厚生年金に相当します。人生の半分をリタイアするのなら、厚生年金が半分、月5万円がダウン、年間60万円になります。人生100年時代を見据え、30〜35年くらいの老後を見据えてこの水準を穴埋めするとなれば1800万〜2100万円の上積みが必要となります。
数字が近いので誤解のないようにいいますと「老後に2000万円」とこの2100万円は別枠です。もともと公的年金では不足する分を月5万〜6万円としていたのは、普通の会社員のケースですからFIREするならさらに同額の上積みが必要ということです。
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