――宣伝といえば、本作の公式Twitterのアカウントが凍結されたことも話題となりました。
Twitterのアカウントを発表したその日の夜にアカウントを凍結されました。ちょうどその前日にマスコミ向けの試写を行っていたんです。マスコミの方はもちろん、ものを言う有識者の方たちを含めて映画を観ていただいたわけですが、そうした人たちが(リツイートする形で)投稿しようと思ったら、映画の公式Twitterアカウントが凍結されてしまっていた。それで騒ぎになったわけですが、翌日の未明に凍結が解除されていました。
まさかTwitter社が政権とつながっているわけでもあるまいと思いつつも、一方的にそうきめつけてもいけないと思ったので、3回にわたってTwitter社に理由について尋ねる文書を送ったんです。しかし、返事は返ってこなかった。しかし朝日新聞さんが取材した時には「凍結した方にはなるべく丁寧にご説明しています」と返答していたようなんです。私どもには一切、答えはありません。
面倒だがやらなければならないのが民主主義の手続き
――文部科学省所管の独立行政法人日本芸術文化振興会が、出演者の不祥事を理由に、スターサンズの製作・配給作品『宮本から君へ』の助成金不交付を決定しました(現在、処分を取り消すようスターサンズが裁判所に提訴し係争中だが、一審の東京地裁は「不交付は違法」との判決を下した)。その時の理由が「公益性の観点」というあいまいな表現だったそうですが、裁判の場でも結局、芸文振からは「公益性とは何か」についての回答は最後までなかったそうですね。
つまり国益と公益。公とは何か、国とは何かという線引きですよね。公益というのは、国民1人ひとりの利益の積み上げであるはずだし、税金、国費も公費であるわけです。公金というのは税金の積み上げであり、国が一方的に稼いだお金じゃない。それなのに公益そのものが全部国のものだと錯覚させている。あんたたちは黙って従ったらいいんだと。彼らはまったくわかっていないですよね。
――映画の中でも、自民党の石破茂さんが国会対策委員会で教わったこととして話していたのが、「勘違いしてはいけない。政府と議会は対等じゃない。政府のほうがお願いして、審議をしてもらって初めて成立するんだと。だからわれわれはお願いする立場であることを忘れるな、ということをかなり厳しくたたき込まれた」ということでした。この言葉からも民主主義の劣化というか、今の政治家が民主主義のプロセスを忘れてしまっているのではないかとも思えてくるのですが。
民主主義は手続きが面倒くさいです。面倒くさいんですが、やらなきゃいけないことですよね。この多様化している世の中で、この判断は下せないなと思うところに多数決があるわけですから。
ところが文化や芸術において多数決でいいのか? ということなんです。圧倒的に多数派だと思われることも、間違っているかもしれない。マスコミなどは本来、その外にいて、そういうことを冷静に見て、これはおかしいんじゃないですかと言うべき存在ですよね。
一方で、文化も芸術というのはいろいろな考え方があるものだと思うんです。例えばこの映画が面白いという人もいるし、つまらないという人もいる。これは映画じゃないよね。バラエティーだよねという人もいる。それでいいんだと思うんです。僕はこの映画をバラエティー映画だと言っていますから。いろんな見方があるし、この手法しかないと思って作ったわけですから。
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