今こそ「失敗」の概念を「創造的に」変えるとき なぜスペースXは爆発映像を流し続けたのか
このような無明の失敗の原因は、おおむね目的や大義の欠如だ。ところが、それでも失敗は起きる。目的や熱意が明確であったにもかかわらず、思うような結果が得られなかった。
しかし、そこで結果を見直し、再挑戦し、あるいは成果を発見することができた場合。これを『失敗の殿堂』の著者のポール・ルイ・イスケ氏は、それを「輝かしい失敗」と呼んでいる。
輝かしい失敗には、2つのタイプがある。1つは、学習と体験を重ねる「ポジティブ・フィードバック型」である。失敗から知識(ナレッジ)が創造される。もう1つは、そこから偶然が作用して、思わぬ成功に転じるというものだ。これはセレンディピティ(幸運な偶然を手に入れる力)と呼ばれるものである。
イノベーション=試行錯誤をする仕事
一方、「シリコンバレーでは誰も失敗を恐れない」などという。しかし、自分の知人などに聞いても、実際に失敗を喜んでしようなどという者などに出会ったことはない。
その代わりに重要なのは試行錯誤することだ。
最近、イノベーション・プロジェクトで困るのは、「エビデンス(おおむね科学的データのことではなく、他社の成功例など)を見せろ」という風潮だ(あるいは、そういう上司を「エビデンスおじさん」とも言うらしいが、エビデンスはない)。
ひどい例は、ボスや意思決定者や「外野」が、「自分はこのテーマ(分野)についてはよく知っているので、話が具体的でわからないから説明しろ」といった反応だ。こうした無理難題には、皆さんも散々悩まされてきたのではないだろうか。
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