今こそ「失敗」の概念を「創造的に」変えるとき

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「失敗はイノベーションにつきもの」というが、今の日本は失敗の意味や概念を変える必要があるのではないだろうか(写真:UYORI/PIXTA)
「イノベーションには失敗が不可欠」と言うけれど……。では、どんなふうに失敗するのか?
今の社会は、変化のスピードが速く、ますます複雑になってきている。経済や政治でも大規模な変革が続き、過去の知恵や経験に基づく推論は通用しない。予想もしない出来事が次々と起こってくる。今までのように成功体験ばかりを賞賛し、失敗を隠そうとする風潮は不合理だ。失敗は次の成功につながる学びの宝庫である。
このたび、オランダのビジネススクールで失敗研究に取り組んでいるポール・ルイ・イスケ教授の著作『失敗の殿堂:経営における「輝かしい失敗」の研究』が邦訳出版された。本稿では、イスケ教授と親交が深く、同書の監訳を担当した紺野登氏に、コロナ禍の日本における失敗からの学び方について論じていただいた。

日本の失敗研究の名著から考える

『失敗の殿堂』を監訳する機会を得た。失敗はイノベーション、発明、新規事業開発、どのような場面でもいわば永遠のテーマだが、どうも今の日本は、その失敗の意味や概念を変える必要があると思ったのがきっかけだった。

『失敗の殿堂:経営における「輝かしい失敗」の研究』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

日本のビジネスパーソンにとって著名な失敗に関する本では、野中郁次郎氏(一橋大学名誉教授)らの『失敗の本質――日本軍の組織論的研究』や畑村洋太郎氏(東京大学名誉教授)の『失敗学のすすめ』などが思い起こされる。

前者は、第二次世界大戦時の日本軍の失敗に関する研究、後者は、日本の製造業・工学の失敗研究としてきわめて重要である。基本的には、失敗からの苦い教訓(過去の成功体験への過剰適応)や、いかに失敗が起こるかの原因追求、ミスを減らすための研究であり、失敗から学ぶこと、失敗が起きたときいかに対処すべきか、などがねらいだ。

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