3.幸いにも、まだ10〜20%残っている──これが、VCにとってのホームランだ。VCが10倍から100倍のリターンを望める投資のことだ。
高打率=良いVC、ではない
よく考えると、このリターンの分布は、べき乗則カーブを彷彿とさせる。VC企業のパフォーマンスが、べき乗則カーブに従うだけではなく、所定のファンドの取引分布も、べき乗則カーブに従うことがわかる。
そのうち、投資家に2.5倍から3倍の純利益をもたらすファンドは、べき乗則カーブのかなりの部分を占めるようになり、機関投資家の資金を引き続き集められるようになる。
手数料について軽く触れると、2.5倍から3倍の純利益(手数料控除後)を得るためには、VCはおそらく3倍から4倍の総利益を生み出す必要があるだろう。ということは、もしVCに1億ドルのファンドがある場合、機関投資家に純利益で2億5000万〜3億ドルを渡すためには、投資によって総額3億〜4億ドルを獲得する必要がある。
ここからわかるのは、VC企業の成功を測るうえで、打率はふさわしい指標ではない、ということだ。
それどころかデータによれば、高い打率をたたき出す企業は、低い打率の企業よりも業績を挙げていないことが多い。いったいどうしてだろう?
それは、VC企業の成功にとって最も重要なのは、「本塁打率」だからだ。野球の本塁打率とは、選手が打席に立った回数をホームランの数で割った割合のことだ。
これに関しては、10.61という通算記録を打ち立てたマーク・マグワイアが、歴代トップの座にある。大雑把に言うと、マグワイアは10回打席に立つごとにホームランを1本打ったということだ。
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