成長したのにVCが「低評価」を付ける企業の特徴 結局、人は「右肩上がりのストーリー」を見る

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どんな時でも最高のバリュエーションが最善とは限らないと著者は言います(写真:jessie/PIXTA)
事業を大きくしたい起業家であれば誰もが通るであろうプロセスに、資金調達がある。シリコンバレーの著名なVC、アンドリーセン・ホロウィッツの最初期のメンバーであり、起業家としての経験も持つスコット・クポール氏の著書『VCの教科書』から、資金調達の際の基本的な問いについて、3回に分けて考えていこう。
VCから資金調達すべきかどうかを論じた第1回、VCからいくら調達すべきかを論じた第2回に続き、今回は第3回(最終回)となる。

過大評価はハードルを上げてしまう

前回は、VCからいくら調達すべきかの判断基準について議論した。今回はバリュエーション(企業価値評価)について考えよう。

あなたは、VCに投資を認めさせられる最高のバリュエーションで調達するべきだと思われるかもしれないが、それは必ずしも正しい答えではない。

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いかにもVCが言いそうなことに聞こえるかもしれない。何しろ、ベンチャー・キャピタリストはより低いバリュエーションで投資することから金銭的恩恵を受けるものだ。だが、ここには重要な点が含まれているので辛抱して聞いてほしい。

前回(第2回)述べた次のことを思い出してほしい――現在の資金調達ラウンドは、「ビジネスの進展(とディリスキング)が反映された、より高いバリュエーションで次回の資金調達ラウンドを実現させるために必要なマイルストーンを考慮して、決めるべき」だ。

現在の資金調達ラウンドで会社を過大評価することを自分自身やVCに認めてしまえば、次のラウンドでクリアすべきハードルを、そして成し遂げた進展への対価を、上げてしまったことになる。

結局のところ、ひとつのラウンドで(もしかすると複数のラウンドで)過大評価されたまま切り抜けられても、いつかどこかの時点で、あなたのバリュエーションに事業進展の実状を反映させる必要があるのだ。

私は長年、多くの創業者とこんな会話をしてきた。

「前回の資金調達ラウンド以降、事業を倍以上に成長させたのに、今回のラウンドで受けたバリュエーションは、前回のラウンドのバリュエーションの2倍にはとても届かなかった。どうなっているんだ?」。

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