成長したのにVCが「低評価」を付ける企業の特徴 結局、人は「右肩上がりのストーリー」を見る

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どうなっているのかと言えば、今回のラウンドのバリュエーションは、前回のラウンドのバリュエーションに対応していないということだ。むしろ、資金調達の現状のなかで評価された事業の現状を反映しているのだ。

考えられる3つの可能性

いくつかのことが生じた可能性がある。

可能性1 市場環境の変化

第1に、事業を判断する評価指標が変わったのかもしれない。

たとえば、前回の資金調達ラウンド以降、株式相場が低迷し、株式市場が前回よりも低い評価指標を用いて成熟企業を評価したならば、あなたのバリュエーションもやはり影響を受けるだろう。

市場環境はあなたのスタートアップのバリュエーションに明らかに影響を与える。

可能性2 新しい投資家の期待に及ばない

第2に、あなたは事業を2倍にしたかもしれないが、新しい投資家は前回のバリュエーションを見て、「その種の成功は織り込み済み」で評価されたという印象を受けたのかもしれない。

そのため新しい投資家は、事業を3倍にしなければ、今回のバリュエーションの2倍に相当しないと判断したのかもしれない。

要するに新しい投資家は、前回のラウンドのバリュエーションと資金から事業を2倍にしただけでは感心しなかったのだ。彼らはそれ以上を期待していた。

そのため、起業家として非常に重要なこと――あなたがバリュエーションを最大限に活用するとして――は、次のラウンドの投資家の高まる期待に沿うために必要な時間を稼げるほど、十分な額の資金を確実に調達することだ。

アンドリーセン・ホロウィッツで見てきた起業家の犯す大きな過ちは、高めのバリュエーションで少額の資金しか調達しないことだ。これは決してあなたが望まないことだろう。

これでは最高のバリュエーションを確立しても、次回のラウンドで現在のラウンドのバリュエーションをはるかに上回るために必要とされる事業目標を達成できるほどの資金は、手に入らない。

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