世界で通用するVCのルールは誰が作ったか? 『VCの教科書』が明かす極端な資本主義の秘密

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
北欧でVC業務を行う塩野氏が、このたび翻訳出版された『VCの教科書』の魅力を解説する(写真:metamorworks/iStock)
全米トップクラスのVC(ベンチャー・キャピタル)の1つであるアンドリーセン・ホロウィッツでマネージング・パートナーを務め、2009年の同社設立時から社員第一号として活躍してきたスコット・クポール氏の著書『VCの教科書』がこのたび翻訳出版された。2003年にVCの世界に飛び込み、今も北欧でVC業務を行う塩野氏が本書の魅力を解説する。

現代のミダス王としてのVC

「サンドヒルロード」と聞いてベンチャーキャピタルが思い浮かぶ人は、かなりのインサイダーだと言えよう。投資銀行ビジネスならウォールストリートが象徴的なように(実際はそこに著名プレーヤーがひしめいているわけではないが)、サンドヒルロードはシリコンバレーのベンチャーキャピタルが立ち並ぶ通りとしてその名を誇っている。

『VCの教科書』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

サンドヒルロードは、手に触れるものを黄金に変えることができる王様(ギリシャ神話のミダス王)たちのたまり場ともいえる。実際、米「フォーブス」が発表する、最も影響力のあるベンチャー投資家ランキングの名称は「ミダスリスト」である。

この通りは、ニューヨークの金融街やロンドンのシティに比べれば瀟洒な高層ビルが並んでいるわけでもなく、地味な低層の建物が並んでいるだけである。ただし、その地味な建物から出てくるポロシャツやTシャツを着たラフな格好のベンチャーキャピタルのパートナー(共同経営者)たちは、数十億円から数百億円の個人資産を持っている人物なのかもしれない。

次ページVCの世界はパラレルワールド?
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事