国土交通省が推す「PFI」の活用、現場に早くも漂う疲労感

現実は8割が小規模事業 中止案件でイメージ低下

国交省やPFI推進委員会が打ち出す目玉の一つが、「コンセッション方式」の導入だ。公共施設の所有権は官が保有しつつ、事業運営・開発権を民間に売却して資金を手当てする新しい仕組みだ。

公共施設を民間の所有にすると税金がかかる。その欠点を補う仕組みとして考え出され、事業権の売却収入が公的債務減らしにもつながる。国交省では現在、関西国際空港と伊丹空港を経営統合し、コンセッションを導入する案が検討されている。

ただ過去の実績を見ると、これまでのPFIは学校や庁舎など、建てたら終わりの箱モノ施設が多かった。どちらかと言うと、国より地方自治体のほうが熱心だが、東京都が50件以上の実績を持つ一方で、鳥取県や和歌山県のように実績ゼロの自治体もあり、取り組み姿勢も二極化。

プロジェクトも、100億円以下の小規模事業が8割近くを占め、大型事業が対象になってきたとは言いがたい。小規模な自治体だと、専門知識を持った職員がおらず、PFIどころではなかったのが実情だ。

また、PFIそのものの問題ではないが、高知市や滋賀県近江八幡市の病院プロジェクトなど、事業が中止されるケースも散見されており、「PFIはうまくいかない」というイメージも植えつけられた。

官の意識や制度も追いついていない。20年までのPFI数値目標について、各省庁からは「回答困難」やゼロ回答が相次いでいる。唯一、国交省が2兆円の目標を掲げたが、問題は対象とする事業の範囲をどこまで広げるか。

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