山田孝之が「全裸監督」出演で確かめたかったこと 俳優以外でも活躍する多彩なクリエーター
──日本でそう感じたことはなかったのでしょうか。
山田:一度もありません。海外だと例えば、ニューヨークで「撮影でここから2ブロックは通行止になります」ってなったら、みんな「頑張って!」って基本的に温かく見守ってくれる。それが日本だと「邪魔だ!」ってなってしまうんです。映画なんて遊び、ただの娯楽だろって。
でも俳優もスタッフも、限られた予算・時間の中ですごいことをやっていると思います。だからもっとちゃんと光が当たってほしいんです。そういう映像の素晴らしさが日本中にもっと根付いて、皆が“映画に救われてる”って感じられる場が増えていけばいいなと思います。
──今回は「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2021」(以下「SSFF&ASIA」)の中で、一般クリエーターが俳優や映画監督と短編映画を制作できる「MIRRORLIAR FILMS」という取り組みを発表されましたが、手応えを感じていますか?
山田:きちんとした作品が表に出る前の発表・製作段階で、これだけ歴史のある「SSFF&ASIA」に一緒にやりましょうと声をかけてもらって、さらにこれだけの人や企業が集まってくれて。僕らのやっていることを素晴らしいと思ってくれる人がたくさんいるんだ、ということを実感しました。結果は出てきているので、その都度意味は感じていますね。
『全裸監督』は挑戦というより確認
──Netflixのオリジナルドラマ『全裸監督』は日本だけでなく、世界でも話題になりました。いろいろな意味で挑戦だったように感じましたが、山田さんはどういう意識でのぞまれたのでしょう。
山田:『全裸監督』は挑戦というより、確認ですね。日本の映像作品って、今は残念なことに国内でも国外でクオリティーが低いと認識されてしまっている。でも、はたして本当にそうなのか?と。
『全裸監督』の依頼が来たとき、190カ国で配信されると聞いて、日本語・日本の題材・日本のスタッフ、キャストで作った作品が、世界でどういう評価を受けるのか知りたいと思ったんです。
結果的に、世界の人がシーズン2を見たいと言ってくれたわけですから、日本の映像作品にも多くの人に楽しんでもらえるクオリティーがあるんだという確認が取れました。これは、映像制作に関わった人間全員の自信につながったと思います。そして、これから「もっと気合い入れて、面白いものを作るぞ!」ってどんどん作品を作って、国外に出していけば、マーケットも広がっていきますよね。