来年50歳!木村拓哉が「キムタク」を自称するまで

SMAP解散から4年半、俳優業と歌手業に邁進中

もうひとつは、「これまでにない木村拓哉」の顔である。それを見せてくれたドラマが、2020年に放送された『教場』(フジテレビ系)である。2021年に第2弾も放送されたこの作品で、木村拓哉はこれまであまり見られなかった役柄を演じた。

彼が演じる風間公親は、警察学校の教官。生徒たちに厳しく接する鬼教官の役どころである。したがって口調も命令調、寡黙で必要なこと以外はしゃべらず、眼光はいつも鋭い。さらに白髪という容姿もあり、これまでの木村拓哉にはなかった役柄として大きな話題を呼んだ。ドラマ自体の出来も高く評価され、テレビ関連の賞を受賞もした。

生徒の身辺に起こる不可解な出来事や犯罪の謎解きが中心になってストーリーが進むため、内容的には推理ものの一種である。その点では、木村拓哉が刑事役を演じた映画『マスカレード・ホテル』(2019年公開)に重なる。

しかし、風間公親が発散するオーラは独特だ。敢えて言うなら、映画『武士の一分』(2006年公開)や『宮本武蔵』(テレビ朝日系、2014年放送)などで演じてきた武士役に近い。剣道経験者でもある木村拓哉だが、実際『教場』でも風間公親の剣道シーンがたびたび登場し、ドラマ全体の張り詰めた緊張感を象徴する場面にもなっている。

ヒーローじゃない木村拓哉

『教場』での木村拓哉は自制心の強い、成熟した人物を演じている。実は風間は、過去のある出来事で心に大きな傷を負っているのだが、それを表にはほとんど出さない。そして生徒たちの人間的な成長を促す役回りに徹する。これまでとは逆で、成長する側ではなく、成長を導く側にいる。

そこには、年齢を重ねるとともに生じた役柄の変化も当然あるだろう。しかし、『グランメゾン東京』と『教場』はほぼ同時期の作品である。そのことを踏まえれば、いま木村拓哉は、俳優として一見相反する“ふたつの顔”を持つようになっていると言える。

今後、その2つの面がどのようにバランスを取り、あるいは融合していくのか、興味深いところだ。その意味で、先日出演することが発表された世界同時放送・配信予定の海外制作ドラマ『THE SWARM』での演技も注目される。

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