人気テレビドラマに見る「SDGs」ブームの超進化 「恋はDeepに」「おかえりモネ」など大豊作

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森林組合のスタッフは「きれいな水や空気はただじゃない」と、森やそこで営む林業の重要性を訴えます。森は生物多様性の宝庫であり、土砂崩れを抑える効果もあり、土壌による水質浄化などさまざまな役に立っていることがドラマのそこかしこでさりげなく伝えられるのです。個性豊かな登場人物の言葉が、そのままSDGsのキーワードになるくらいに含蓄のあるセリフが続きます。

くつろいだときに見るテレビドラマによって、さりげなく自然の大循環が果たす役割に思いが至るような機会は非常に重要です。どうしても地球温暖化などの環境保全の話は、説教臭くなってしまい、敬遠する人も多くなりますが、ドラマというエンタメの世界で語られると、素直に人々の心に浸透していく気がします。

石原さとみ、綾野剛が語った「海洋問題」

驚くことに、こうしたSDGsをさりげなく取り込んだドラマが今、次々に生まれているのです。この春に終わったばかりの日テレの「恋はDeepに」もそのひとつ。石原さとみさん、綾野剛さんの主演ドラマで、ドラマのキャッチコピーは「この春、史上最強のラブコメが始まる!海を守りたい女と、その計画に人生をかける男。地上でいちばんDeepな恋が、幕をあける!」でした。

話題の2人の共演で話題だった「恋はDeepに」(画像:日本テレビ公式HPより)

ボーイミーツガールの恋がテーマになっているものの、設定には海洋問題が描かれています。石原さとみさん演じる海洋学者は、湾の中にリゾート施設を立てようとする開発会社御曹司と対立します。

しかし二人が仲良くなるにつれ、魚たちのすむ海洋環境の保全が重要であること、海と森がつながっていることなどについて、次第に御曹司にも理解が浸透していきます。最後は水族館の子どもイベントで、二人が共同して紙芝居を使って熱く海洋保全の重要性について語るようになるのです。人魚かも?と思わせるこの主人公はいつも魚の立場で語ります。

また、彼女はいつも通勤中にペットボトルを拾いながら歩いています。「2050年の海洋にはプラスチックごみの量が海にいる魚を上回る」というショッキングなデータもあるほど、プラスチックは大きな社会問題です。

例えば海洋ごみの影響で、魚類、海鳥、アザラシなどの海洋哺乳動物、ウミガメを含む少なくとも約700種もの生物が傷つけられたり死んだりしています。このうち実に92%がプラスチックの影響、例えば漁網などに絡まったり、ポリ袋を餌と間違えて摂取することによるものだと推定されているのです。

主人公が悲しそうにプラスチックの象徴であるペットボトルを拾い集める日常を見ることで、「ポイ捨てをしない、使い捨てプラスチックを減らそう」といった意識を高めたり、プラスチック問題に関心を高めることには大いに貢献したと思います。

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