40代女性を変えた「不妊治療、2度の流産、離婚」 「妊活は婚活よりも大変だった」という実感

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街中でも、お腹の大きい妊婦さんや、赤ちゃんを抱いていたりバギーを押していたりする女性ばかりが目に入った。

「意識がそちらに向いているからでしょうか。“世の中には、こんなに子どもを授かっている女性がいるんだ“と思いました。その仲間入りを、1日も早くしたかった」

妊娠することで頭がいっぱいに

不妊治療を受けているときには、定期的にクリニックに通わないといけないので、仕事探しもままならず、まずは仕事よりも子どもを授かることを優先することにした。

「受精卵を子宮に戻す胚移植を2度やりました。2度目が着床して 妊娠したんです。そのときは飛び上がるほどうれしかったのですが、9週目で流産してしまいました。もう悲しくて悲しくて、1週間くらいは泣き続けていました」

街で赤ちゃんを抱っこしていたり、バギーを押している女性を見ると、ところかまわず涙が溢れ出てきたという。

「1度目の流産の後から、さらに妊娠することで頭がいっぱいになりました。私が口にする話題はすべてが不妊治療のこと。流産後から3カ月は体の調子をととのえる期間に当てるように医師から言われたのですが、その3カ月間毎日のように、どうしたら妊娠しやすくなるのか、ネット検索をしていろいろなサイトを読み漁っていました」

あるとき、会社から帰ってきた吉次に、「今日ネットで、胎内環境をよくするサプリを見つけたの」と話すと、彼がうんざりしたような顔で言った。

「こっちは、仕事から疲れて帰ってきているのに、玄関のドアを開けて家の中に入った途端、妊娠妊娠、子ども子どもって、そんな話ばかりされたら、気が休まらないよ。いい加減にしてくれよッ!」

吉次のこの言葉に、昌子はパチンと感情が弾け、おいおい泣きながら、ヒステリックに叫んだ。

「痛い思いやつらい思いをするのは、私ばかり。それでも頑張っているのに、なんで私の気持ちをわかってくれないの!」

そして、吉次につかみかかっていった。

「何するんだよ! 疲れて帰ってきたのに、やってられないよ!」

彼は、つかみかかった手を振りほどくと、そのまま外に出ていってしまった。

昌子は、ひとり部屋に取り残され、泣きながら実家に電話をした。最初に電話に出たのは母で、今起こったことの一部始終を告げた。すると、後から父が電話をかわり、言った。

「昌子の気持ちもわかるけれど、お父さんは男だから、吉次くんの気持ちもわかるよ。昌子は1日家にいる。だから余計に子どもを授かることを考えちゃうんだろう。吉次君は、仕事で疲れて帰ってきて、その話ばかりされたら、気が休まらないだろうよ」

その夜は、「誰1人として、私の気持ちをわかってくれない」と思っていたのだが、一晩寝て冷静になってみると、「妊娠することで頭がいっぱいになり、心に余裕がなくなっている自分にも悪いところがあった」と、反省した。

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