観光列車のルート変更も?長崎新幹線の「光と影」 経費節減で非電化方針、「36ぷらす3」に影響

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駅前では利き酒コンテストなども行われており、見事にすべての酒を言い当てた人の歓声が響く。「すごい盛り上がりですね」とスタッフに声をかけたら、「こんなもんじゃない。本運行のときはもっと盛り上がりますよ」という答えが返ってきた。

こうした地元の熱意はだてではない。JR九州や行政は地元の熱意にほだされ、当初計画を変更している。

整備新幹線が開業すると、JRは並行する在来線を切り離し、県や沿線自治体などが設立した第3セクター鉄道会社が運行を引き継ぐことが多い。西九州新幹線・武雄温泉―長崎間の場合は本来、長崎本線の肥前山口―長崎間が並行在来線である。

JR九州は諫早―長崎間を分離せず引き続き運営する一方で、肥前山口―諫早間は経営分離する方針を示したが、沿線自治体は同意を拒んだ。並行在来線といっても内陸を走る新幹線と有明海沿いを走る在来線とではルートが離れており、在来線沿線の住民は新幹線のメリットを享受できないからだ。

そのため、JR九州は経営分離せず、佐賀・長崎両県が線路などの施設を保有し、新幹線開業後23年間はJR九州が運行を行う上下分離方式を採用することで決着した。

新幹線開業後「36ぷらす3」走れず?

当初計画では経費削減策として肥前鹿島―諫早間を非電化にしてディーゼル列車を走らせる方針だった。しかし、肥前浜の地域住民たちの強い要望で、肥前鹿島の1駅先の肥前浜まで電化が維持される見通しとなっている。もしそうなれば、新幹線開業後も肥前浜と博多とは電車で直通することが可能だ。

「36ぷらす3」は787系特急電車の改造。九州の電化区間は走れるが非電化区間は自力で走れない(記者撮影)

電車である36ぷらす3も従来どおり肥前浜に乗り入れることができる。しかし、大きな問題が残る。非電化区間である肥前浜―諫早間を自力で走ることができないのだ。長崎県内に乗り入れできないのでは、九州のすべてが詰まった列車という36ぷらす3のコンセプトから外れてしまう。

このため、JR九州は新幹線開業後の36ぷらす3の新たな運行ルートについて検討を始めている。肥前浜止まりとする案のほかに佐世保など別ルートで長崎県内に乗り入れる案が上がっている。列車のコンセプトを考えれば、長崎県への乗り入れは外せない。

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