長崎に「中国製フリーゲージ」が走る日は来るか 日本のFGTとは違う軌間可変システムを採用?
昨年11月2日に開かれた、佐賀県議会の新幹線問題対策等特別委員会。JR九州の古宮洋二専務を参考人として招致し、県議と専務のやりとりが数時間にわたって行われた。議題の中心は当然ながら佐賀県を通る九州新幹線の長崎ルートだが、原田寿雄議員(自民党)は質問の後半、なぜか「中国」で開発された鉄道車両に触れた。
「鉄道専門のネットニュースによると、中国でフリーゲージトレイン(FGT)が完成したという。世界中で中国と日本は高速鉄道を売り込んでいこうという成長戦略を取っているなかで、日本はFGTの高速走行を断念したと、そのなかで中国は完成したと。JRに聞く話ではないかもしれないが、所感があれば聞きたいし、知り得た情報があれば教えてほしい」
長崎ルートは福岡市と長崎市を結ぶ整備新幹線。博多(福岡)―新鳥栖間は九州新幹線の鹿児島ルートと線路を共用するため、実際の計画区間は新鳥栖―長崎間になる。このうち終点寄りの武雄温泉―長崎間のみ工事中で、2022年秋頃に開業の予定だ。
「直通できない」長崎ルートの課題
しかし、起点寄りの新鳥栖―武雄温泉間は未着工で、開業のメドも立っていない。武雄温泉―長崎間だけ開業しても、いまの在来線特急「かもめ」のように博多―長崎間を直通することはできないのだ。
標準的な新幹線の規格(フル規格新幹線)は2本のレール幅(軌間)が1435mmで、車体の大きさは最大幅3400mm。長崎ルートの武雄温泉―長崎間も、このフル規格を採用して建設が進められている。一方で在来線は軌間が1067mmで新幹線より狭く、車体の大きさもフル規格より小さい最大幅3000mmだから、新幹線と在来線の直通運転は基本的に不可能だ。
そのため、武雄温泉―長崎間の開業後は博多―武雄温泉間の在来線特急と武雄温泉―長崎間の新幹線列車を乗り継ぐ必要がある。それでも博多―長崎間の所要時間は20分ほど短縮されるが、乗り換えの手間が増えるし、新幹線の整備による利便性向上効果がそがれてしまう。
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