台湾新幹線の車内業務はJR東海と何が違うのか

NHKドラマで語られなかった台湾オリジナル

台湾新幹線の車内販売スタッフ(記者撮影)

NHK総合テレビで5月16日から3回にわたって放送されたドラマ「路(ルウ)〜台湾エクスプレス〜」は、NHKと台湾の公共放送局PTSの共同制作で台湾の高速鉄道プロジェクトの軌跡を描いた。2007年に開業した台湾の高速鉄道には日本の新幹線技術が取り入れられており、台湾新幹線とも呼ばれる。高速鉄道を運営する台湾高速鉄路(略称「高鉄」)とJR東海が撮影に協力しているだけに、JR関係者からも「丁寧に作られている」と評判がよい。

日本が台湾新幹線の優先交渉権を獲得したのは1999年の暮れ。それから程なくして、名古屋に旅立つ恋人を主人公が東京駅で見送るシーンに新幹線700系が登場している。700系は台湾新幹線の車両700Tのベースとなった車両であり、つい先日引退したばかり。ドラマでは2003年に製造され、最後の運行を担った700系C54編成が使われ、ファンの間で大きな話題となった。

「台湾オリジナル」とは何か

作中で何度も繰り返されるのが、「台湾オリジナル」という言葉だ。台湾の高速鉄道は当初、欧州式を導入しようとしていた経緯もあり、車両やインフラには日本式と欧州式が混在する。

たとえば台湾新幹線車両の700Tは、日本の新幹線700系をベースに開発されたが、欧州仕様を取り入れて車掌室の窓が開かない構造になっている。ドラマの中では日本側の担当者と欧州からきた高鉄の幹部が窓が開く構造にするかどうかをめぐって議論する様子が描かれている。日本側は、これまでの実績を元に日本式がベストという考え方に立っているが、台湾側は「日本と欧州の長所を組み合わせた“台湾オリジナル”がベストだ」と考えているのだ。

日本側は、日本式と欧州式が混雑することの技術的な課題を指摘しており、これまでに日本の多くの関係者がその点について語っている。たとえば、2019年1月15日付記事(台湾新幹線、的中した「開業前の不安要素」)では、台湾新幹線の開発に携わった田中宏昌氏は、次のように語っている。

「システムを構築するためには、単独の部品が優秀というだけでは不十分。数多くの部品が組み合わされて1つのシステムになる。高速鉄道であれば、橋梁、バラスト、レールといった土木構造物から、電気を供給する変電設備や架線構造が一体となったシステムとして安全に機能しなくてはいけない」

「彼らのシステムをまったく無視するつもりはない。だが、信頼性と安全性が担保できるまで十分に検証を行う必要がある。その時間がたっぷりあるならよいが、開業時期が決まっていて、そこに向けてスケジュールを組むとなると限界がある」

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