「新幹線物流」に乗り出したJR東日本の本気度

JR九州や北海道も検討する「貨客混載」の将来性

「なすの272号」で運ばれた卵(記者撮影)

JR東日本が新幹線を利用した荷物輸送に本気で乗り出した。同社の最高幹部は「見ていてください。我々は本気でやりますよ」と話す。

11月10日に衆議院議員会館で開かれた「鉄道政策に関する勉強会」(武井俊輔衆院議員主催)。出席したJR東日本の赤石良治常務が「with コロナへの対処」として「新幹線など活用した物流サービスの拡大」を強調した。

新幹線ならではの輸送の強み

JR東日本は2017年から、産直市場など地域創生イベントで東北新幹線を使った農水産品の輸送を行ってきた。

10月24日に高輪ゲートウェイ駅で開かれた農産物のマーケット「ポケマルシェ」。福島の鶏卵農家が郡山駅に運んだ卵50個が同日午前10時37分発の「なすの272号」に乗って午後12時16分に東京駅に到着。続いて青森から「王林」70個も届いた。これらはJR東日本の子会社で物流を手掛けるジェイアール東日本物流のトラックに載せられ、マルシェに並んだ。

収穫したてりんご「王林」が届く(記者撮影)

生産者と消費者を直接つなぐマルシェを運営するポケットマルシェの山口幹生COOは、「新幹線はスピードが速く、揺れも少ない。こだわりをもってつくっている生産者が、本当においしいものを本当においしい状態、タイミングで消費者に届けることができるのは新幹線ならでは」と話す。

JR東日本はこれまで、地域創生や震災復興の一環として新幹線輸送を実施してきた。各種イベントでノウハウを積み上げ、10月からいよいよ有料のビジネスとして事業化に乗り出した。

その第1便となった10月16日の「やまびこ212号」は、東京駅の駅ナカ施設「グランスタ東京」に入る回転寿司店「羽田市場」が発注し、宮城県石巻でその日朝に水揚げされた太刀魚、メバル、ムール貝などを運んだ。運賃は非開示だが、トラック輸送に比べるとかなりの高額だ。それでも、その日のうちに鮮魚が店頭に並ぶメリットは大きいという。

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