長崎に「中国製フリーゲージ」が走る日は来るか 日本のFGTとは違う軌間可変システムを採用?
こうした状況のなかで、中国がFGTを開発したという話が舞い込んできた。長崎ルートの関係者にとっては、心中穏やかではいられないだろう。中国から輸入したり技術供与を受けたりすることで長崎ルートにFGTを導入できるのなら、「全線フル規格」に方針転換した理由が根底から覆ってしまう。
これまでの中国政府の発表や現地メディアの報道を総合すると、中国FGTは2016年頃から開発が始まった。2019年内には完成の見込みだったが、1年遅れて昨年2020年10月21日、中国中車グループの長春軌道客車と唐山軌道客車で完成したFGTが披露された。
具体的にいつ、どこの路線に導入するかは明らかになっていない。おそらく今回完成したFGTは試作車のようなもので、営業車両ではないと考えられる。ただ、車内には旅客用の一般的な座席が設置されており、量産先行型に近いタイプとはいえるだろう。
「そのまま導入」は不可能だが…
唐山のFGTを報じた新華社通信(新華網)の記事では、軌間は600mmから1886mmに対応可能としている。これはおそらく設計上の限界値とみられる。一方、長春のFGTを報じた中国新聞社(中新網)の動画では、設計担当者が世界の4種類の軌間に対応する技術を開発したようなことを語っている。
4種類の軌間とは、狭軌の1067mm、標準軌の1435mm、そして広軌の1520mmと1668mm。日本の新幹線(1435mm)と在来線(1067mm)の軌間も含まれている。最高速度は営業で時速400km、試験では440kmとされる。日本FGTの目標最高速度は新幹線走行時が時速270km、在来線走行時が130kmを想定しているから、今後の走行試験の結果次第だろうが、中国FGTは日本FGTの性能を大幅に上回っていることになる。
実際のところ、中国FGTは日本の新幹線と在来線を走ることができるのだろうか。
中国で今回完成したFGTに限っていえば、そのまま長崎ルートに導入することはできないはずだ。報道映像を見る限り、日本のフル規格新幹線の車両と同じ大きさと思われる。新鳥栖―武雄温泉間の在来線走行区間では、ホームやトンネルの壁などにぶつかってしまう。
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