非正規雇用が「日本の生産性」低迷させる根本理由 「最低賃金の引き上げ」なくして経済の復活なし
「最低賃金引き上げ」は先進国の常識になった
日本では今、最低賃金引き上げの議論が佳境に入っており、7月中に決着することが見込まれています。
そんな中、諸外国では最低賃金の引き上げが相次いでいます。2021年の引き上げ率は、アメリカで4.3%、EU27カ国の平均は2.5%でした。最近発表された上海は4.5%、オーストラリアは2.5%、カナダは11.6%となりました。また、韓国は来年の最低賃金を5.1%引き上げると決めています。前回の記事(「最低賃金1178円」が国際的に見た常識的な水準だ)で指摘したとおり、先進国の最低賃金は次第に1178円に収斂していっています(購買力調整済みの金額)。
日本よりコロナによる打撃が何倍も大きく、経済対策が日本より小さいにもかかわらず、多くの先進国で最低賃金が引き上げられているのです。
これらの国では、最低賃金は経済の専門家と統計分析を中心とした専門委員会が、ビッグデータなどをベースにして、科学的根拠を重視して決定しています。特に、アメリカではワクチンの普及が進み、飲食・宿泊業で雇用と賃金が最も伸びていることに注目したいです。
対照的に、日本の最低賃金は、中央最低賃金審議会において、労働組合と商工会議所などという利害関係者が「腕相撲」をして合意するという、時代遅れのやり方で決められています。科学的根拠に乏しく、ただの感情論になりかねない危険な決め方で、経済発展の機会を犠牲にしています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら