非正規雇用が「日本の生産性」低迷させる根本理由 「最低賃金の引き上げ」なくして経済の復活なし
平均給与で見ても、日本とイタリアの低迷が目立ちます。1990~2019年の間、他のG7の国の平均給与は30~50%増えているのに、イタリアは3%、日本は6%しか増えていません。
生産性向上率を見ると、1990~2019年の間、日本の成長率はイタリアを下回って、G7の中で最下位です。
両国では、労働生産性も低迷しています。1990年から2019年までの間、イタリアの労働生産性は11.3%しか伸びていません。この伸び率はG7の中では最低です。日本は2番目に低い21.3%でした。
日本とイタリアの最大の違いは、労働参加率にあります。日本の労働参加率は非常に高いのに対し、イタリアでは非常に低くなっています。就業者を生産年齢人口(15歳以上65歳未満)で割った比率では、2020年のOECD平均は77.3%でしたが、イタリアは34位の71.4%でしかありませんでした。ちなみに、日本は6位の85.6%でした。
「非正規雇用の拡大」がイタリア経済を苦しめ続けた
さて、では具体的に論文の中身を見ていきましょう。
イタリアの労働生産性向上率は、特に1990年代の後半から2008年までの間に、相対的に大きく悪化しました。イタリアで労働生産性が伸びていないことの大きな理由の1つとされているのが、1980年代からスタートした労働市場の規制緩和です。雇用契約の多様化が進み、賃金に対する規制も緩和されました。この論文では、労働市場の規制緩和の影響が分析されています。
論文では、18業種の27年間のデータを分析しています。規制緩和によって、各業界の生産性が上がったのかどうか、また特定の業種に労働人口が集中することによって、経済全体の生産性の加重平均がどう変わったかも分析しています。
理論的には、労働市場の規制緩和は労働参加率にプラスの影響を与えます。一方、労働生産性への影響は、経営者次第でプラスにもマイナスにも働く場合があります。
では、イタリアでは実際にはどうなったでしょうか。
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