日本で売ってないランクル70が海外では現役な訳 トヨタのヘビーデューティSUVは質実剛健を貫く

✎ 1〜 ✎ 20 ✎ 21 ✎ 22 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そこで300系はランクル伝統の「フレーム構造」と80系からの黄金比となる「ホイールベース」を継承しながらも、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)に基づいた新プラットフォーム、新パワートレイン、内外装デザインを含め、長年にわたる技術の組み合わせと最新技術を融合して生み出された。ドバイで行われたワールドプレミア以降、日本でも話題沸騰で、風のウワサでは正式発売前にもかかわらず、2万台を超えるかなりの数の先行受注が入っているそうだ。

日本で販売終了の70系は今も世界で生産・販売

その一方、同じランクルを名乗りながらも「何も変えない、いや変えてはならない」というモデルがヘビーデューティ系の70系である。実は日本での販売は2004年に終了しているが(2014年に1年間限定で復活)、ワールドワイドでは今も現役で生産・販売が続けられている。

ワクチン保冷輸送車にも使われているランドクルーザー78系(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

ちなみに2021年3月にはトヨタから70系のバリエーションの1つである78(トゥループキャリア)が「世界初、ワクチン保冷輸送車のWHO医療機材品質認証を取得」というリリースが発表された。道路インフラが未整備の途上国でもワクチンを低い温度に保ちながら病院や診療所まで輸送するための車両として、世界で唯一認められたクルマとなった。もともと新生児用ワクチンを想定して開発されたそうだが、新型コロナウイルスのワクチン輸送手段としても期待されている。

「大きく変わった300系」に対して「何も変わらない70系」について改めて紹介したい。

40系に代わって登場した70系(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

70系はランクルの名を世界に知らしめた40系に代わって1984年に登場。「変わらない」と言ってもモデルライフの途中でいくつかの変更が行われている。まずは1990年にショート/ミドルホイールベースに加えて4ドアバンを追加。1999年に1回目の大幅改良が行われ、乗り心地改善のために前後リーフリジットのサスペンションが改良された(フロント:コイルスプリング化、リア:リーフスパンの変更)。

続いて2007年に2回目の大幅改良が行われ、オーストラリアのユーロ4規制に合わせ、エンジンを従来の直6ディーゼル(NA)からV8ディーゼルターボ(海外向けの200系と同じエンジン)へと変更。従来のフレームではエンジンが搭載できないことからフロントのフレームが80mm拡幅された。それに伴い70系の特徴の1つだった分割式フェンダーや愛嬌のあるフロントマスクは近代的なデザインへと変更された。

その後、主要マーケットの1つとなるオーストラリアの鉱山会社の安全に対する意識が強いことから、2016年にはANCAP5☆のために横滑り防止装置(VSC)を設定。さらに2020年には、従来から装着される12Vソケットに加えてUSB電源も追加されている。

次ページ“質実剛健”を絵に描いたようなインテリア
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事